人の出会い、人の別れ、人が起こす奇跡――。
この世界は多くの人々で創られており、そして人の数だけドラマがあります。
散々見知ってきたつもりでも、あなたの知らない心に響く感動のヒューマンドラマというのはまだまだ沢山溢れているのです。
というわけで今回の特集は、ネット上で無料で読むことができる読み切り作品の中から、特に心に響いたものを厳選して選んだヒューマンドラマ特集です。
人との付き合いや関係性に疲れた時にこそ読みたい、心に響く珠玉の作品をご堪能ください。
- 『ルックバック』藤本タツキ
- 『きみの夏休み』春野ユキト
- 『怪人ピアノ教室』片岡とんち
- 『山形の初恋』大鳥雄介
- 『青空のキセキ』めかぶ
- 『さよならの果実』澤岻
- 『みぞれちゃん、』人夏
- 『わたしのアスチルベ』あむぱか
- 『他向け花』 鷹野聖月
- 『僕とお父さんについて』薄場圭
- 『こんな季節に死にたいあたしの』清家雪子
- 『余白の世界』山原中
- 『地球儀の陽のあたらざる裏がはに』 久野田ショウ
- 『キスしたい男』タイザン5
- 『いろはちゃんはキモい』奥灘幾多
- 『ストロボソーダ』高野雀
- 『だから、いっしょに帰ろう』凪松ひろ
- 『ドロップアウト』鹿原史生
- 『ふつうがめっちゃこわい』こんはるか
- 『カナブンと頭痛薬』折田洋次郎
- まとめ:心に響くヒューマンドラマ読み切りを読んで心に栄養を!
『ルックバック』藤本タツキ
あの『チェンソーマン』の藤本タツキ先生が描いた、超ボリュームの読み切り作品。
漫画家を目指す少女達の、すれ違いや事件によって翻弄される運命など、実に深くて考えさせられる濃密なヒューマンドラマです。
SNS上でも大いに話題になった、まるで映画を観た後のような読後感を得られる傑作で、ぜひ腰を据えてじっくり読んでほしい作品です。
単行本としての発売もなされていますが、引き続き少年ジャンプ+内で無料で読むこともできるので未読の方はぜひ読んでみてください。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
ルックバック | 藤本タツキ | 143ページ | 少年ジャンプ+ |
『きみの夏休み』春野ユキト
2021年後期・第80回ちばてつや賞一般部門において大賞を受賞した作品。
幼い頃に母親と別居することになった主人公の少年が、母親が働いているという隣町のスーパーへと冒険する物語です。
それだけ書くと、なんだか重苦しいお話になっているように思うかも知れませんが、読めばわかる優しくて温かい、あたらしいカタチの素敵な物語になっています。
絵だけで魅せるシーンも多く、とても爽やかな読後感の感動傑作です。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
きみの夏休み | 春野ユキト | 42ページ | コミックDAYS |
『怪人ピアノ教室』片岡とんち
かつて争っていた人類と怪人との戦いが終わり、負けた怪人と人類が場所を別にしながらも暮らしている世界での物語。
ちょっとタイトルから内容が想像しにくいな、と思いましたが、読んでみると盲目の少年と怪人とのとても泣けてほっこりできる素敵な物語。
真の友人は見た目も境遇も関係ないのです。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
怪人ピアノ教室 | 片岡とんち | 60ページ | 少年ジャンプ+ |
『山形の初恋』大鳥雄介
このブログにおいて、初期の頃からご紹介し続けている大鳥雄介先生の新作読み切り作品。
今まではファンタジーな世界観の作品でしたが、今作はまさかの学園モノ。
甘酸っぱさに成長に友情に、様々な学園生活で飛び交う想いが凝縮されているかのような傑作青春学園読み切りになっています。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
山形の初恋 | 大鳥雄介 | 85ページ | 少年ジャンプ+ |
過去作品も気になればぜひ読んでみてください⇓⇓
『青空のキセキ』めかぶ
大空を父親と飛ぶ――そんな夢を抱いていた少年の夢は、ある日の飛行機事故によって途絶えてしまった……。
映画『ハドソン川の奇跡』を彷彿とさせる始まりから、予想外の父と子の絆、そして最後には「手段は何であれ夢を諦めずに叶える」という息子の決意が奇跡を起こします。
飛行機のパイロットになる難しさ、そして父と子の絆に泣かされるヒューマンドラマ読み切りになっています。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
青空のキセキ | めかぶ | 55ページ | 少年ジャンプ+ |
『さよならの果実』澤岻
主人公の父親の「もうしんどいんだ」という離婚のための告白から始まる、家族の在り方を描いた読み切り作品。
さまざまな夫婦や家族の形が認められるようになり、かつ夫婦の関係性も多様化している今だからこそとても響きます。
主人公の父親が泣きながら離婚を切り出した理由はなんだったのか?
それを知って娘は父親を許せるのか?
考えさせられると同時に、爽やかな読後感と感動に包まれる素敵な作品です。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
さよならの果実 | 澤岻 | 33ページ | コミックDAYS |
『みぞれちゃん、』人夏
いわゆるバーチャル配信者であるみぞれちゃんは、ある日突然引退を宣言。
そのみぞれちゃんの配信を何より楽しみにして生きている女性は、ちゃんとしたお別れもできないまま引退してしまったみぞれちゃんへの想いをどこに向ければいいのかわからずにいた。
しかしある日、女性は偶然仕事で訪れたアパートでみぞれちゃんの中の人だと思われる人物と出会い……。
――なんとも現代的、かつ繊細な心情をうまく描いた読み切り作品です。
中の人に会えた喜びはあっても、やはり好きだったのはモニターで見ていた「みぞれちゃん」。
そんな複雑な心情をわかりやすく描いてくれている素敵な作品です。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
みぞれちゃん、 | 人夏 | 44ページ | コミックDAYS |
『わたしのアスチルベ』あむぱか
セクシャルマイノリティな少女達の、非常に生々しい葛藤と複雑な友情を描いた作品。
人に対して恋愛感情を抱けないアロマンティック。
人に対して性的欲求が沸かないアセクシャル。
そんなもしかしたら聞いたことのない言葉も出てくる作品ですが、2人のヒロインどちらの心情も上手く描かれている為、非常に読み応えがあり、そして感情移入してしまう深いヒューマンドラマになっています。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
わたしのアスチルベ | あむぱか | 89ページ | 少年ジャンプ+ |
『他向け花』 鷹野聖月
アフタヌーン四季賞2020秋において大賞を受賞した作品で、凝縮された面白さだけでなく、2度読みたくなること必至な仕掛けがほどこされている大賞も納得の感動のヒューマンドラマ。
ぜひ深く考察するつもりで繰り返し読んでみてほしい作品です。
四季賞はやっぱりすごいです。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
他向け花 | 鷹野聖月 | 55ページ | コミックDAYS |
『僕とお父さんについて』薄場圭
新しく家にやってきた血の繋がらない「お父さん」。
多感な14歳の少年と、本当のお父さんになるべく奮闘する男性とのあたたかくて泣ける感動のヒューマンドラマです。
派手さはありませんが、絵柄にも味とあたたかみがあり、セリフにもセンスを感じるとても良いおすすめの作品です。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
僕とお父さんについて | 薄場圭 | 42ページ | 少年ジャンプ+ |
『こんな季節に死にたいあたしの』清家雪子
自殺をする計画を立てていた少女。
そんな少女の計画を邪魔したのは、まさかのコロナ禍だった――。
世界中の人々の生き方を変えてしまったコロナ禍を、自殺をしようとしていた少女にも当てはめた衝撃作で、禍々しいタイトルとは裏腹に優しい気持ちになれる母と娘の物語になっています。
短い作品で多くは描かれていませんが、母の心情が現れているような数々の描写に胸を打たれます。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
こんな季節に死にたいあたしの | 清家雪子 | 17ページ | コミックDAYS |
『余白の世界』山原中
漫才グランプリで優勝し、一流のお笑い芸人になることを夢見る男の物語。
元相方が漫才グランプリで優勝したニュースをバイト先で知った主人公の複雑な心や荒れていく様がとてもリアルでなんとも胸が苦しくなります。
そして終盤、スーパー適当で頼りなかった今の相方に様々な事を気付かされることになるのですが、セリフなしの見開きでその気付きを表現しており最高に感動的です。
全ての夢を追いかけている人に読んでほしい、極上のヒューマンドラマです。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
余白の世界 | 山原中 | 37ページ | コミックDAYS |
『地球儀の陽のあたらざる裏がはに』 久野田ショウ
ルドラ病という死病が蔓延した世界での、深くて考えさせられる極上のヒューマンドラマ。
コロナ禍に襲われた現実世界とどこか似ているような雰囲気もあります。
ワクチンを作る為に必要な人種であるアマラ人の少女の最後の決断は、衝撃と感動を与えてくれると同時に、人間の醜さまでも考えさせられるとても深い読み切りです。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
地球儀の陽のあたらざる裏がはに | 久野田ショウ | 56ページ | 少年ジャンプ+ |
『キスしたい男』タイザン5
15歳の時にアンジェリーナ・ジョリーに一目惚れし、アンジェリーナ・ジョリーとキスすることだけを目標に生きてきた少年の物語。
……と、それだけ読むと明らかにギャグ漫画のように感じますが、読みすすめる内に徐々に雰囲気は変わっていき、最後には想像とは全く異なる物語になっていきます。
なぜアンジーとキスをしたかったのか?
その理由がわかり結末まで読んだあなたは、きっと泣いてしまうことでしょう。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
キスしたい男 | タイザン5 | 48ページ | 少年ジャンプ+ |
『いろはちゃんはキモい』奥灘幾多
久々に帰省した女性が、3歳年上で幼馴染の引きこもり少女を家から出すべく尽力する物語。
特徴的なのが、主人公のかなの本当の感情がわかりづらく、物語を通してどこか暗い雰囲気が漂っていることです。
結末もキレイにすっきり、という感じではなく、なんともいえない読後感になっています。
押見修造先生の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』みたいな雰囲気が好きな方はきっと好きだと思います。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
いろはちゃんはキモい | 奥灘幾多 | 33ページ | コミックDAYS |
※奥灘先生のTwitter上で読むことのできる傑作読み切りも最近紹介したので、興味がある方はぜひ併せてチェックしてみてください。
こちらもしっかり心に響く、深くて考えさせられる作品になっています⇓⇓
『ストロボソーダ』高野雀
最低限のページ数にも関わらず、父と息子との深くて考えさせられる極上の物語に仕上がっている傑作ヒューマンドラマ。
『さよならガールフレンド』のような心理描写が超上手い高野雀先生だからこそな作品。
父親が陥っている状況を、一般的な病名での表記を一切しないあたりがすごいです。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
ストロボソーダ | 高野雀 | 16ページ | コミックDAYS |
『だから、いっしょに帰ろう』凪松ひろ
2020秋の四季賞を受賞した作品で、非常に上手く人間模様が描かれている傑作ヒューマンドラマです。
主人公のようくんは同性愛者で、親友のごうちゃんを好きになってしまうのですが、その感情が社会的にも許されていない感情だと知り、タイムカプセルにラブレターを入れただけにして20年間想いを封印します。
それを同窓会で掘り起こそう、という事になってしまうのですが……。
切なさと、人間模様と、誰もが何かを抱えて生きているという現実とをすごくうまく描いた美しい物語です。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
だから、いっしょに帰ろう | 凪松ひろ | 88ページ | コミックDAYS |
『ドロップアウト』鹿原史生
来年の内に死ぬ――という事を決め、残る人生を好きに生きようとしている女性と、たまたまその女性の手伝いをすることになった少年との物語。
割とありがちなストーリーに思えて、描き方が斬新でクライマックスも泣けます。
死ぬということを暗いことだと思われたくない――という女性の考え方も面白いです。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
ドロップアウト | 鹿原史生 | 46ページ | 少年ジャンプ+ |
『ふつうがめっちゃこわい』こんはるか
人を信じない――そう決めている女性が、「普通」になるまでを描いた作品。
独特な表現と淡々とした雰囲気で物語は進んでいくのですが、終盤に女性が徐々に変化していく様子の描写が素晴らしく、じんわりと深い感動に包まれます。
皆が憧れる普通とはなんなのか?
逆に普通じゃないとはなんなのか?
そんなことを考えさせられる作品です。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
ふつうがめっちゃこわい | こんはるか | 45ページ | コミックDAYS |
『カナブンと頭痛薬』折田洋次郎
彼氏を事故で亡くしてしまった女性の物語。
女性は彼氏が事故で亡くなる直前、ちょっとした勘違いから彼氏に対していじわるをしてしまいました。
そのいじわるが直接の事故の原因ではないのですが、女性は自分のせいで彼氏は死んだのだ、と心に大きなモヤモヤを抱えたまま生きていくことになります。
静かで美しい日本映画を観た後のような読後感の、心にやさしく響く傑作です。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
カナブンと頭痛薬 | 折田洋次郎 | 46ページ | コミックDAYS |
まとめ:心に響くヒューマンドラマ読み切りを読んで心に栄養を!
心に響くヒューマンドラマ漫画特集、いかがでしたでしょうか?
環境や境遇に違いはあっても、僕らは皆人との繋がりの中で生きている生き物です。
そこには嫌なこともたくさんありますし、同じぐらい嬉しいこともあります。
今回ご紹介した作品の数々の中にも、様々なヒューマンドラマがあり、それぞれに登場人物が悩み、泣き、笑っていたと思います。
そして皆一様に、色々な困難で打ちのめされても、最後には前を向いて歩きだしていたはずです。
とにかく生きてさえいれば良いことは必ず起きるのです。
サクッと読めるヒューマンドラマ少しでも心に響き、そして少しでも元気をもらえたのであれば幸いです。
今後も良い作品を見つけ次第この特集記事にも追加していきたいと思っています。
もし他ジャンルの作品も読みたければ、様々なジャンルで特集まとめ記事を作成しているのでぜひチェックしてみてください。
それでは、お読みいただきありがとうございました。
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