新海誠監督の『秒速5センチメートル』の漫画化作品でデビューし、『月に吠えらんねえ』で作家をモチーフにするというかなり変わった漫画で第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞している清家雪子先生。
そんな清家先生がこの全人類が巻き込まれたコロナ禍での日常の変化を、鋭く重たい視点で描いたのが今回ご紹介する『こんな季節に死にたいあたしの』です。
『こんな季節に死にたいあたしの』は一言でどんな漫画?
いじめを理由に自殺をしようと思っていた少女が、コロナ禍で変わってしまった自分の運命と向き合うヒューマンドラマ。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
面白そうかどうかの判断がつかない方は、この記事を読み進めていただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
こんな季節に死にたいあたしの | 清家雪子 | 17ページ | コミックDAYS |
『こんな季節に死にたいあたしの』の超ざっくりあらすじ
主人公・ことりは、新学期が始まったらビルの屋上から飛び降り自殺をする決意をしていた。
その際にはいじめをしてきた生徒達の素性を全てバラし、写真もネットにアップする準備もしていた。
しかし、ことりの決意と準備を台無しにしたのは、学校でも家族でもなく、新型コロナウィルスだった。
計画通りであればもうこの世にはいないはずだったことりは、同じくコロナ禍によって店が危機的状況に追い込まれている母親と共に家で過ごす時間が増えた。
ある日母親が冗談で「心中でもしちゃおうか」と言ったことをきっかけにことりの感情は爆発し、学校でいじめられていた事を母親へと初めて話す。
死ぬはずだったことりの心の葛藤と、娘がいじめられて死にたいほどの追い詰められていた事を初めて知った母親は少しずつ心の距離を詰めようとするが――。
『こんな季節に死にたいあたしの』のネタバレあり感想
まさにコロナ禍で起きた多くの「変化」を描いた作品で、「自殺する決意をしていた少女が図らずもコロナ禍によって死ぬ機会を逃す」という設定になっているこの作品は清家雪子先生の鋭すぎる切り口がスゴイと言わざるを得ません。
特にこの作品ではことりと母親のものすごく繊細な心の揺らぎの描写が上手く、ことりの心の声一言一言がなんとも沁みます。
いじめられている事をことりから聞いた母親の反応と表情も、心がそのまま出ているかのようで凄く胸に響きました。
ことりの母親は一見いう事が飄々としているように見えて、いじめに気付けなかった自分をすごく責めているように感じましたし、一刻も早く変えてあげたいと思っているのも伝わってきました。
終盤では母親がかたつむりを見せに来たり、ことりが喜びそうなものを嬉々として見つけたりと、なんとも泣けちゃう母親の歩み寄ろうとする姿が描かれます。
この作品は、一言でどんな作品、と言い切るのがものすごく難しい作品です。
コロナのおかげで命が救われた少女、コロナのせいで解放されなかった少女、コロナ関係なく逃げ続けただけの少女――あらゆる解釈があると思いますし、読む人によって感じるものは全く異なってくるでしょう。
僕は、コロナがあったおかげで少しだけ歩み寄れた母と娘のあたたかいお話であると感じました。
いじめはいじめられている本人しかその苦しみとつらさはわかりません。
はたから見れば「逃げればいいのに」と簡単に思うかも知れないものも、実際は多くの葛藤としがらみがあり時にはこの作品のことりのような選択をすることにもなります。
そんな時一人でも本当に寄り添ってくれる人がいれば、それだけであらゆる運命は変わる可能性があるのです。
この漫画では、ことりにはしっかりとした母親がいるから大丈夫。
そう思える、素敵な家族愛を見たような気がします。
『こんな季節に死にたいあたしの』を読んだ皆さんの反応
『こんな季節に死にたいあたしの』はコロナ禍が変えた少女の運命を描いた読み切り漫画
この作品は2020年の夏ごろに掲載された作品なのですが、今なお尾を引いているコロナ禍を実に鋭く描いた作品だと思います。
それでいて根っこにあるのは家族愛であり、何度も読むうちに泣けてきます。
ぜひ、まだ読んでいないと言う方は読んでみてください。
17ページという短い作品ですが、すごく考えさせられる作品でもあります。
そして楽しめた方は、清家先生をもっと応援し、最新情報もチェックしてみてください。
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