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少し暗めな雰囲気の戸田誠二先生作品が詰め込まれた『しあわせ』【おすすめ1巻完結読み切り漫画】

しあわせ

このブログで戸田誠二先生の作品を紹介するのも4作品目。

僕、かなり戸田先生の短編集が好きなのです。

生きること、生きていく上でぶち当たる壁――そういった普遍的なテーマを、戸田先生独特の視点で味付けしてくれて、最後には深い考えと感動をくれるという短編の名手。

今回ご紹介する『しあわせ』は、初の単行本となった『生きるススメ』の次に単行本化された作品です。

ただ、戸田先生ご自身があとがきで描かれているように、先生自身は結構暗めの話も好きなようで、この『しあわせ』は確かに『生きるススメ』と比べると終わり方がちょっとダークだったりする作品が多いように感じました。

それでも、深く考えさせられる点では同じで、流石の戸田誠二先生。

また、超短編(掌編)の天才っぷりも発揮されている1ページで終わる作品も収録されていますので、広くおすすめしたい戸田先生の短編集となっています。

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タイトル作者出版社発売年
しあわせ戸田誠二ジャイブ 2017年

『しあわせ』を読んだら……

感動をもらえるだけでなく、改めて人生を考えるきっかけにもなりました。

『しあわせ』はどんな漫画?

『しあわせ』は全部で4章に分かれており、それぞれの章には繋がりのない独立したお話がそれぞれいくつか収録されています。

各章ごとにどのような作品があるか簡単にざっくりと紹介していきますので、購入する際の参考にしてみてください。

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それぞれの章に入る前に、最初に1話身近なカラー作品が収録されています。

まさに昨今話題になっている多様性を予見しているかのような内容で、短いながらも深い1話になっています。

第一章:Apoptosis

第一章は、

くらげ

Red Ribbon

アポトーシス

の3作品が収録されています。

「くらげ」は、『生きるススメ』にあったような1ページの秀逸な作品。

そして章のタイトルにもなっている「アポトーシス」は題材は暗いながらもほのかに心熱くなるお話。

アポトーシスとは、細胞が他の細胞を良い状態に保つために自らすすんで細胞死(要は細胞の自殺)する現象のこと。

人間の物語にアポトーシスとタイトルをつけるおそろしい戸田先生。

しっかり救いのある良いお話です。

第二章:手さぐりで歩く

第二章には、

とかげ

Happy Birthday

NO SEX

幸せ

の4作品が収録。

手探りで歩く、という章のタイトル通り、手探りで歩いているような人々の、色々と考えさせられるようなお話が詰まっています。

僕の個人的な好みで言えば、一番ほんわかした気分になれる「Happy Birthday」が素敵なお話でした。

第三章:Rules

第三章は3つの作品が収録されています。

殺人計画

視線ごっこ

四月の薬草

の3作品で、「視線ごっこ」ではまさかの怪物のようなものも登場します。

そして媚薬の効能を巡るちょっとハラハラする展開な「四月の薬草」は、不気味な終わりがなんとももやもや。

第四章:浮かび上がる

第四章は、

失恋

けものみち

反抗ヘンカンキ

の3作品。

最後の「反抗ヘンカンキ」は後の戸田先生のSF短編にも繋がっていくかのような、かなり面白い作品です。

タイトルから少しだけ予想できるように、「反抗期のエネルギーを電気エネルギーに変換する機械」が中心になる物語。

なぜそんな機械を開発することになったのか? などの物語が引き込まれます。

そして最後、その機械は意外な末路を辿ることになりますが、感動的な終わり方がとても読後感の良い作品にしてくれていました。

ぜひ読んで欲しいエピソードです。

『しあわせ』を読んだ皆さんの反応

『しあわせ』は少し暗めな雰囲気の戸田誠二先生作品が詰め込まれた「生」を考えさせられる傑作短編集

戸田先生の作品に共通している、普遍的で深い「生きること」や「コンプレックス」というテーマが今回ご紹介した『しあわせ』からも感じられました。

そしてやはり確実に前作『生きるススメ』よりも暗くて重めの雰囲気。

だというのに気持ちが落ち込まないのも、戸田先生がしっかりと作品内で救いの仕掛けをしてくれているからだと思います。

また、相変わらず1ページのみの超短編の発想が凄いです。

戸田誠二先生ファンはもちろん、それ以外の方も生きる元気を貰える戸田先生の一冊、読んでみて欲しいです。

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