母親を描いた漫画というのはそれこそ無数に存在しています。
しかし、どの漫画の「母」も、違う母であり、それぞれ違う強さや優しさを持っています。
今回ご紹介するのは、池辺葵先生による母と母性とが詰まった短編集です。
僕はこのブログを始めてすっかり池辺先生のファンになってしまったのですが、やはり空気感と絵のあたたかさとで魅せる池辺先生、単に母親讃歌というような短編集ではないです。
ここに描かれている母親は、とてもリアルで、悩み、そしてもちろん子供を愛している。
また、母親だけでなく、血は繋がっていないけれども子を引き取り育てているシスターなども出てきます。
この短編集は、母だけでなく女性の持つ「母性」に焦点を当てたような短編もあり、優しい感動と女性の強さと美しさに触れられる、そんなとても奥深い短編集になっています。
――というわけで今回ご紹介するのは、池辺葵先生の『ねぇ、ママ』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
ねぇ、ママ | 池辺葵 | 秋田書店 | 2017年 |
『ねぇ、ママ』を読んだら……
様々な「母」に触れ、あたたかくもどこか物悲しいような、不思議な読後感に浸れます。
『ねぇ、ママ』はどんな漫画?
この作品は、全部で7つの短編から構成されています。
基本的にはどの作品も読み切りですが、繋がりのある短編もあります。
ここではそれぞれの漫画の内容をざっくりとネタバレしない程度にご紹介しますので、読もうか迷っている方は参考にしていただければと思います。
きらきらと雨
母親の一生を凝縮したかのような、ものすごくエモい短編。
変に盛り上げすぎたりもせず、淡々と描いているのがものすごく良いです。
池辺先生らしい傑作。
ザザetヤニク
修道院に預けられている少女達とシスターの物語。
ザザとヤニクという少女の無邪気さと、シスターの雰囲気がなんとも最高。
夕焼けカーニバル
骨董品店の老婆と、いつもパンを買って食べている健気な少女との物語。
少女が老婆に撫でられているラストカットではきっと涙が溢れ出るはず。
カラスの鳴く夜にヤニクは〜アンダンテカンタービレ〜
ザザとヤニクの物語の続き。
ヤニクの元に突然ある人物が現れるのですが、その際のザザの態度とその後のセリフが胸に刺さります。
実に深いラスト。
残照
物語の主人公としてはかなり珍しい?んじゃないかと思いますが、少し年老いた姉妹が主人公の物語。
とてもリアルな会話に、ハツラツとしている姉妹の雰囲気に元気をもらえます。
stand up
前作の姉妹も登場する、ひきこもり少年の物語。
オチまで予測できてしまう展開ではあるのですが、そこは池辺先生の絵の魅力でまんまと号泣しました。
とても良い家族のお話。
アントルメ
描き下ろしのオマケ漫画。
ザザの性格がよくわかる、可愛らしい短編。
『ねぇ、ママ』を読んだ皆さんの反応
『ねぇ、ママ』は母の愛と母性が詰まった池辺葵先生らしい傑作短編集
とにかく僕としては最初の短編「きらきらと雨」で心持ってかれました。
たぶんですが、実際に子育てもしたお母さんなんかが読むともっとすさまじく感動しちゃうんじゃないかな?なんて思いました。
さわやかな読後感、という感じではないのですが、黄昏どきのあたたかい陽光、みたいな不思議な優しさのある読後感です。
説明、すごく難しいのですが、読めばきっとわかってくれるかと。
池辺葵先生の作品は本当にどれもおすすめなので(このブログでは1巻完結しか紹介していませんが)、ぜひこの機会に試し読みだけでもしてみて欲しいです。
※過去に紹介記事を書いた池辺先生の作品⇓⇓
そしてこの『ねぇ、ママ』もぜひ読んでみてください。
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