『透明人間の恋』というタイトル、センスを感じます。
もうそのタイトルだけで無数に面白そうな展開を想像できちゃうというものです。
今回ご紹介するのは、2019年に実写映画化された『町田くんの世界』の作者である安藤ゆき先生の短編集『透明人間の恋』。
少女マンガではありますが、とても構成の巧い物語ばかりの、キュンとできて泣ける最高の短編集になっています。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
『透明人間の恋』 | 安藤ゆき | 集英社 | 2013年 |
『透明人間の恋』を読んだら……
オシャレで切ない珠玉の短編が沢山読めて、読後感は雨上がりの街のように爽やかでした。
『透明人間の恋』はどんな漫画?
『透明人間の恋』は少女マンガで、基本的には恋愛物語が中心です。
しかし非常にうまい短編としての面白みを凝縮したような物語ばかりなので、単なる恋愛短編にとどまらず様々な感動を得ることができる傑作短編集になっています。
各話ざっくりとネタバレしないように紹介してみますので、参考にしてみて下さい。
そこは注文の多い料理店
タイトルで察せるかも知れませんが、元ネタは宮沢賢治の「注文の多い料理店」です。
安藤ゆき先生のインタビューにありましたが、担当さんから「宮沢賢治の『注文の多い料理店』を描きませんか?」と言われて考えた作品だそうですが、かなり短い(8ページ)に詰め込むにはさすがに厳しいでしょう。
しかし、しっかりとミステリアスで少女漫画なラストのお話に仕上がっています。
イケメンは正義。
透明人間の恋
表題作。
何がどう透明人間なのか?
と誰もがあれこれ想像してから読むことになると思うのですが、全体的に素敵でタイトルも納得の良いお話でした。
ちょっとこれはネタバレしない方が良いと思うので、ぜひ読んで確かめてみて下さい。
マトリョーシカ
彼女を作ってはすぐに別れてしまうスーパーチャラ男なイケメン遊理(ゆうり)と、その親友であり幼馴染でもある仁那(にな)のお話。
いつも仁那は遊理の失恋を励まし、応援するという関係性。
2人はお互いを意識したことなど無いと思っていたのですが、色々と思い返してみると……。
展開は読めるのに、しっかりと泣かされちゃう僕30代おっさん。
上手いのです、仕掛けが。
やられます。
勝手な2人
人によっては、「その考え方は全く理解できない」と思っちゃう可能性もありますが、僕としては偏った考え方ですれ違う感じがとても好きだった作品。
彼氏に振られた主人公の女子高生が、友達に紹介してもらった無口な男子と不思議な関係、そして展開へ発展していくお話。
これを読んで、「あ、少女マンガ好きですわ自分」とハッキリと認識した僕30代おっさん。
drops.
非常にオシャレで、非常に巧みで、とても感動的な群像劇。
短い短編の中に、さらに短いいくつかの人々の「雨」にまつわるエピソードが描かれており、しっかりと最後のエピソードで感動させつつオシャレに終わる、完成された作品です。
安藤ゆき先生のセンスをものすごく感じる短編集のラストに相応しい作品でした。
『透明人間の恋』を読んだ皆さんの反応
特に「drops.」でやられますよね。
学校で自信が持てない女性などは読んでみるとスーパーデビューのヒントになるかも?
『透明人間の恋』は5つのキュンとして泣ける物語が詰まった傑作短編集
恋のキュンキュンする系のお話がメインなので、バトルモノが読みたいんじゃい!みたいな男性はちょっと思ったのと違っちゃうかも知れませんが、恋する(恋したい)全ての人類には文句なしにおすすめできます。
繰り返しになりますが、キュンするだけじゃなく構成がうまいので「drops.」のようにとてもきれいにまとまった素敵な物語も読めます。
安藤ゆき先生の可愛くかっこいいキャラ達に惚れ、そして感動しちゃってください。
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