1巻完結・読み切りのこと

1巻完結・読み切り漫画の長期連載漫画にない魅力とおすすめポイント5つ

1巻完結・読み切り漫画の魅力とは?

多くの漫画が長期連載され、複数巻にまたがり刊行されているのはご存知の通りです。

そういった膨大な「長い」名作達を差し置いて、あえて1巻で完結している漫画、または読み切り短編集で構成されているような漫画を読む意味とはなんなのか?

あえてその「1巻完結・読み切り」の漫画のみを紹介することにしているこのブログの管理人である僕が、1巻完結・読み切り漫画の魅力とおすすめのチェックすべきポイントはどういうところなのか?を今回はお伝えしたいと思います。

この記事を読めば、きっと今までとは異なる1巻完結漫画や、読み切り短編で構成されているような漫画との付き合い方出来る様になりますし、もっと色々な漫画家さんの読み切り漫画を読みたくなるはず!

1巻完結漫画と読み切り漫画について

まず最初にちょっとした説明だけしておきます。

このブログで紹介している作品は、基本的に「1巻で完結している漫画」なら何でも紹介しています。

そして一応定義についてですが、読み切り漫画というのは1話で完結している作品を指します。

つまり当然ですが、1巻完結漫画だから「読み切り漫画」とは言えないわけですが、ざっくり広い意味で言っちゃえば「1巻で読み切れるのも広義での読み切り漫画と言っちゃっていい」のではないかと僕は思っています。

もちろん、厳密に言えば違うということはわかった上で、です。

ネットで探せばわかると思うのですが、1巻で完結している漫画の呼び方ってかなりバラバラで、紹介者によって「単巻漫画」と言っていたり「読み切り漫画」と言っていたり「1巻完結漫画」と言っていたり、本当に統一されていないです。

それに、統一してしまっても、後から作者が続きを描きたくなって2巻目出した途端にジャンル外れるのか? みたいなよくわからない議論も起きそうなので、そこはざっくり考えとくぐらいが良いのかな、と思っています。

1巻完結漫画と読み切り短編集との違い

次に、一応大きくわけて2つにわけられる単巻漫画の違いを考えてみます。

1つは、1巻で完結していて、かつ物語が全話繋がっているもの。

このブログで紹介したものでは『呪術廻戦0』とか、『ギガントマキア』などです。

そしてもう1つが、それぞれのお話が独立し完結している読み切り漫画がいくつか収録されているものです。

短編集、とか読み切り短編集、とも言われます。

現時点では、当ブログで紹介した漫画で最も多数のお話が収録されていた読み切り短編集が、九井諒子先生の『ひきだしにテラリウム』です。

どれも面白いので本当に才能ある先生だな、と思いました。

そしてイレギュラーなパターン(イレギュラーと言いつつ割とよくある手法)として、短編集と見せかけておいて実はお話が繋がっていてるサプライズ連結パターン。

上手く繋がると本当に鳥肌立ったり感動したり、大きな感情のうねりを起こすなんちゃって読み切り漫画の必殺技です。

作者天才だなぁ、と思ったが『アイリウム』

鳥肌立ったしめっちゃ泣けたのが『夕凪の街 桜の国』

僕はこの「短編集とみせかけて繋がってるサプライズ構成」こそ1巻完結・読み切り漫画の最大感動火力を出せる超必みたいなものだと勝手に思っています。

1巻完結・読み切り漫画の魅力その1:漫画家の本当に描きたかったものが読める

では本題です。

まず最初の1巻完結・読み切り漫画の魅力は、漫画家さんが本当に描きたかったものが読める、という点です。

超気合を入れて描かねばならない長期連載モノ。

締め切りに追われ、時には自分の描きたくない展開にすることだってあるでしょう。

しかし1巻完結を見越した短期連載であったり、読み切り作品であれば比較的自由に、漫画家さん達も楽しんで描くことができる作品が多いのです。

もちろん例外的に地獄の苦しみで描いた1巻完結漫画も多数あるでしょうが、それはここでは置いといて――。

いくつか良い例としてご紹介してみますが、『うしおととら』で有名な藤田和日郎先生の『邪眼は月輪に飛ぶ』は、内容も実に読み応えあるバトル漫画でしたし、あとがきで先生ご自身が描きたいこと描けて楽しかった、どおっしゃっています。

また、有名なんてレベルじゃない鳥山明先生も、「老人と戦車が描きたい」という想いだけで『SAND LAND』という1巻完結の名作漫画を描いてくれています。

『無限の住人』で有名な沙村広明先生は、「赤毛のアンが描きたい」と言った挙句に素晴らしく救いのない、それでいて美しく鬱々とした世界を描いた『ブラッドハーレーの馬車』のような、先生の性癖全開な作品を生み出してくれました。

嫌がりながら描いた作品ではなく、漫画家自身が「これが描きたい」と思って描き切る1巻完結漫画は非常に熱量を感じますし、楽しさが伝わってくるものが多いです。

1巻完結・読み切り漫画というのは長期連載のように延々と続けるマラソンとは異なり、短期でズバっと描き切ることが可能だからこその「漫画家の本気」を垣間見れる素晴らしいチャンスなのです。

同時に、新人漫画家さん達にとっては、読み切りこそが勝負の場だったりもします。魂込めて描いて出版社に持ち込んで、もしその読み切り作品が高評価を得られればそのまま連載モノへシフトできることもありますし、その読み切り作品をプロトタイプとして展開していくこともできます。

それ故に、次の項で書きますが「漫画家さん達の若かりし頃の足掻き」がハッキリと読み取れる作品も多いのです。

1巻完結・読み切り漫画の魅力その2:漫画家さんの恥ずかしい時代の作品も読める

次の魅力は、好きな漫画家の恥ずかしい頃の作品も読める、という点です。

もちろん、漫画家さんが本気で拒否すれば刊行されることはないのでしょうが、漫画家のデビュー作であったり、賞に応募した作品が、ある程度漫画家として売れてきたころに短編集としてまとめて一冊になるのは良くある話。

例えば最近で言えば、空前のヒットとなった『鬼滅の刃』の吾峠先生もデビュー作を収録した短編集が発売され、先生ご自身があとがきで「全裸で街中に放り出されたような恥ずかしさ」と書いていました。

でも、ファンからしたら先生の事を知る貴重な一冊になりますし、『鬼滅の刃』へ繋がるタネも発見できるのですから嬉しいのです。

他にも、「え! この先生ってこんな作品も描いてたんだ!」みたいな発見もよくあります。

『ぼくらの』などで結構ダークな世界を描いてきた鬼頭莫宏先生も、心あたたまる短編を描いていたり。

好きな漫画家さんがいるのでしたら、もし1巻完結・読み切り漫画をその漫画家さんが出していたら、積極的に読んでみることをおすすめします。

あなたの知らない一面や、意外な物語を描く力を発見でき、もっとその漫画家さんを好きになれると思いますので。

※有名漫画家大先生らのデビュー作・初期作が読める短編集特集をしましたので、興味あればチェックしてみてください↓↓

1巻完結・読み切り漫画の魅力その3:短いからこそ難しい!漫画家さんの物語構成力がわかる!

物語というのは、短い物ほど難しかったりします。

それもそのはずで、極端な例ですが「いつまででも連載していいよ」と言われてスタートした漫画であればそこまでお話を練らなくても、長期間読まれ続けることでキャラに愛着を持ってもらうことができます。

しかし1巻完結、あるいは1話完結の読み切り作品であればそうはいきません。

ある意味で、漫画家さんの本当の物語構成力が試される場でもあるのです。

1コマも無駄にせず、丁寧にキャラを描写しつつ物語も進めていく。

僕は漫画家じゃないので詳しくはわかりようがないのですが、たぶん、めちゃくそ難しいと思うのです。

このブログで紹介してきて特に「凄いなぁ」と思った読み切りの名手は、『ダンジョン飯』で有名でこの記事も上で紹介しましたが、九井諒子先生の短編集。

物凄く短い作品もあるのですが、それでもしっかり「面白い」と思わせてくれるのでセンスしか感じません。

また、戸田誠二先生もSFで結構怖い展開になりそうな題材が多いにも関わらず、必ずちょっとした驚きと感動をくれるのでマジに恐ろしい才能です。

このブログで紹介した作品は全て本当におすすめ出来るので、皆さん本当にすごいわけですが、中でも今挙げさせてもらった戸田先生と九井先生は読み切り作品で特に強い、と僕は感じました。

ものすごく短い作品になると、物語構成力というよりも「どこで面白いと感じさせるか」が大事になってきます。

何しろ物語を紡いでいるページ的余裕は全くないわけで。

そうなると、戸田先生や九井先生が得意とするように「一仕掛け」が必要になるわけです。

それが上手いんですね。

むしろ漫画家を目指しているような人こそ、読み切り作品や1巻完結作品を沢山読んで物語の作り方と見せ方を勉強するときっとためになるのでしょう。

1巻完結・読み切り漫画の魅力その4:その1冊で完結するという安心感がある

これは人によってはデメリットにもなりうるポイント(1巻だけで物足りない!という意味で)なのですが、やはり沢山の巻数がある漫画だと途中1巻抜けてたり、またはそもそも何巻まで出てるのか知らなかったりすることありますよね?

しかし1巻完結・読み切り漫画なら大丈夫。

絶対にその一冊で終わります。

続き読みたくても終わってます。

あっという間に読み終わってしまった?

それはそれだけ面白かったということです。

少し浮いた時間で、物語の余韻を楽しみましょう。

1巻完結だと、気軽に読み始められるというメリットもあります。

全く知らない状態から『ワンピース』を読み始めるのには宇宙ステーションからのバンジージャンプぐらいの勇気が要りますが、1巻完結漫画なら1時間もあればまず読み終えることができます。

さらに、お話を丸ごと持ち歩くことも容易です。

『こち亀』ならDJがレコード載せて運ぶ荷車みたいなのがないと無理です。

しかし1巻完結漫画ならリュックにストン。

あるいはちょっと広めのポケットにスポン。

電子書籍だからどっちも丸ごと運べるヨ‼ 

――なんて思う電子書籍派のあなたは、ぜひこちらの記事をお読みください↓↓

1巻完結・読み切り漫画の魅力その5:1冊だからこその宝物感

これ、通じますかね?

僕はすごくあるのです。

1巻完結・読み切り漫画だからこその、宝物感。

複数巻の漫画を並べて眺めるのも最高に気分良いのは知っているのですが、それ以上に本当に好きな1巻完結の漫画を宝物を持っているかのように愛でる感じが好きだったりします。

僕はこのブログで紹介している電子書籍サービスは、基本的にはebookjapanのみなのですが、理由もこれに通ずるものでして、唯一背表紙表示があるからです。

唯一無二の背表紙表示機能が、ものすごく「コレクション欲」とか「並べてる感」を満たしてくれるのです。

あとは僕の性格もあるとは思います。

好きなものが複数に分かれているよりも、

「僕の! 好きなものは! これだけ!」

みたいに1つを愛したい性格なのです。

だから、1冊で完結している1巻完結・読み切り漫画なんかを紹介するブログを始められたのかも知れません。

漫画家さんの熱量と一緒です。

好きなもののことじゃないと熱意が伝わらんのです。

1巻完結・読み切り漫画の長期連載漫画にない魅力5つまとめ

1巻完結・読み切り漫画の魅力、伝わりましたでしょうか?

おそらくそこまで意識せず読み切り作品を読んでいる方も多いかと思います。

しかし、長期連載できる作品と異なりむしろ難しかったりするのが短い作品なのです。

逆に言えば、読み切りでものすごく面白い漫画を仕上げてくるような新人漫画家さんはポテンシャルくそ高な可能性あるので、将来大出世するかも知れません。

今までとは違った視点で読み切り作品や1巻完結漫画も読んでみるときっともっと面白くなると思います。

最後に、1巻完結・読み切り漫画の5つの魅力、まとめておきます。

・その1:漫画家の本当に描きたかったものが読める――特に売れた作品を持っている大御所漫画家さんは、短期連載などで好きなものを描くことが多いような気がします。

・その2:漫画家さんの恥ずかしい時代の作品も読める――今では大物でも、若かりし頃の足掻きまくっている様子が感じ取れると妙に親近感沸いたりもします。

・その3:短いからこそ難しい!漫画家さんの物語構成力がわかる!――もっと踏み込んだ事を言えば、短いからこそセリフ量が増えがち。そこをぐっと抑えて絵で説明できているような漫画家さんはマジの天才。

・その4:その1冊で完結するという安心感がある――「うわーこの漫画面白ぇぇ! え? あと30巻あるの? じゃあやめとくわ」ってならないです、絶対。

・その5:1冊だからこその宝物感――この1冊に僕の「好き」が全て詰まっている……。まさに宝石箱や!

では、これからも引き続きどんどん紹介していきますので、あなたもどうか1巻完結漫画、読み切り漫画をもっと読んで自分だけの宝物な一冊を見つけてください。

ブログ内で紹介してきた1巻完結・読み切り漫画の中から厳選した本気のおすすめ漫画特集、よければあわせて読んでみてください↓↓

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