学校生活でのほんの些細な出来事が自分の心を閉ざす要因になってしまったり、あるいは自分では全く想像もしていなかった事が自分に「出来ない」と気づいてしまったり。
学校という場所では多くの事に気付かされますが、中でも自分に関するネガティブな事というのはなかなかに衝撃的で、自ら認めるのに時間が掛かったりもします。
今回ご紹介する1巻完結漫画では、吃音症の女の子が登場します。
作者である押見修造先生はあとがきにて自身の体験を元にした作品であると書かれており、また先生にとっては吃音症であったからこそ漫画家になれたのかも、と書かれています。
時にネガティブな要素というのは生きる活力になる事もありますし、自分の人生の方向を決めてしまうことすらあります。
当然それは基本的には苦しい事の方が多いのかも知れませんが、強さに変わる事だってあるのです。
今回ご紹介するのは、『惡の華』などの押見修造先生による『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』です。
押見先生がこれを執筆する際に願ったように、吃音症の漫画として読むのではなく、誰にでもある普遍的な悩みや葛藤の物語として読んでみて欲しいです。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
志乃ちゃんは自分の名前が言えない | 押見修造 | 太田出版 | 2013年 |
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を読んだら……
自分の名前が上手く発音できない志乃の迫力ある描写に心えぐられ、何度も泣いちゃいます。
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』はどんな漫画?
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』は1巻完結の1つの物語となっている漫画です。
作者の押見修造先生は『惡の華』など、とにかく繊細な心の描写をするのが天才的に巧い為、あまりセリフ量も多くないこの作品も絵で見せ、空気で感じさせてくれます。
話の中心となるのは自分の名前すらうまく発音することができない志乃で、志乃が先生に自己紹介するように促されたり、クラスメイトに馬鹿にされたり、そして友達にすらうまく言葉が発せなかったりする度に志乃を応援し、涙腺が緩んでしまいます。
何より志乃がピンチになっていても頑張っている姿というのが物凄く迫力ある描写で描かれており、志乃の頑張りが直接伝わってくるような、そんな物凄い見せ方をしてくれています。
終盤では、クラスメイトの加代という女生徒と仲良くなっていくのですが、友達が出来たとしてもうまく喋れなくなったり、また些細な事ですれ違ってしまったりと、ハラハラの連続ですし、いちいち学生時代を思い出して心がえぐられ続けます(今現役で学生な人にはより刺さるのかも)。
少しでも志乃と似たような経験があれば、きっと何度も泣きながら読むことになると思いますし、僕は数回泣きました。
押見修造先生があとがきで書いていたように、吃音症とかではなかったとしても、間違いなく誰にでも共感する要素のある、誰にでもおすすめしたい傑作だな、と感じました。
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を読んだ皆さんの反応
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』は心えぐられ号泣必至のおすすめ傑作1巻完結漫画
いやはや、すごい作品でした。
とにかく志乃が緊張してしまって言葉が出て来なくなる時の描写が大迫力で、読んでいてこっちまで息苦しくなるような凄味がありました。
振り返れば、自分自身にも置き換えられるような出来事はありますし、学生時代のクラスに似たような子がいたのです。
ですから余計に僕には感じるものがありましたし、おそらくは多くの方が何かしら共感でき、人によっては刺さりすぎるかも知れない、そんな大傑作でした。
ぜひ、多くの方に読んで欲しいですし、誰にでもおすすめしたい一冊です。
余談ですが、この『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』は後に映画化もされています。
もし気になる方は映画の方もチェックしてみてください。
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