日本で最も有名な戦国大名の一人、織田信長。
うつけと呼ばれたかなりの変わり者でありながら、今川義元に蹂躙されるかと見せて逆に義元の首を挙げ一気に名を馳せ、疾風怒濤の如く天下取りまで駆け上がっていったものすごい人物です。
恐らくはその最期も、多くの人が知るところでしょう。
長らく織田信長に仕えていた武将、明智光秀による裏切りに遭い、「本能寺の変」と呼ばれる歴史的大事件によってまさにこれから、というところで命を絶たれます。
さて、そのように織田信長と言えばとにかく逸話の多い戦国大名でもあり、多くの創作物にも登場するわけですが、そんな織田信長の一生を淡々と記した書物があることをご存知でしょうか?
多くの創作の元のなっているのがその書物で、ずっと信長に仕えていた太田牛一なる武将が秀吉の命により書き上げた、全16巻の大作です。
その書物の名は、『信長公記』(しんちょうこうき)。
そう、読めばわかるように、信長の一生を書き記した書物です。
そして、今回ご紹介する1巻完結漫画が、そんな信長の一生を描いた信長公記を『子連れ狼』などで有名な大御所・小島剛夕先生が描いた力作です。
※当ブログでも『片目柳生』で一度ご紹介しました。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
信長公記 | 小島剛夕 | 中央公論新社 ゴマブックス | 2001年 2019年 |
『信長公記』を読んだら……
オリジナルの信長公記に沿ってざっくりと信長の一生を追えます。ただし本当にざっくり。
『信長公記』はどんな漫画?
『信長公記』は、膨大な巻数からなる「信長公記」を描いた漫画なのですが、まさかの1巻完結です。
でなければこのブログでは紹介しないわけなのですが、流石に信長公記を全部丁寧に描いて項が足りるわけもなく、正直に書いておきますが、この『信長公記』は信長公記に描かれている信長の一生を楽しむ漫画というよりは、信長公記に描かれていることの大まかな全容がわかる漫画、と捉えた方が良いでしょう。
また、劇画調の迫力あるタッチではありますが、ところどころ見づらい箇所もありました。
どうやら描かれたのが小島剛夕先生の晩年であったため、やむを得ない部分もあったのだと推察します。
ある意味で、信長の一生はおおまかに把握している人が再確認する目的であったり、太田牛一という人物を少し掘り下げて知りたい方向けの漫画かも知れません。
内容は、丁寧に信長が若くて「うつけ」と評されていた時代から始まり、あくまでも信長公記での記述をベースに、テキスト少な目で描写されています。
叡山焼き討ちあたりで、漫画の終盤になってしまっていたので少し嫌な予感はしましたが、やはり予感的中、終盤はかなり駆け足の説明で終わってしまいました。
恐らく小島剛夕はもっとゆっくり項を割いて描きたかったのに、制約上厳しかったんだろうな、と察しました。
総じて、『信長公記』はざっくりと信長の一生をおさらいする、淡々とした書物「信長公記」に近い読後感の1巻完結漫画でした。
『信長公記』を読んだ皆さんの反応
『信長公記』は信長の一生を描いた書物の全容がざっくりとわかる小島剛夕先生渾身の1巻完結漫画
書いてきたように、信長の波乱に満ちた物語を期待するとちょっと肩透かしを食らうかも知れません。
『信長公記』のおおまかな全容把握と、太田牛一について掘り下げて知りたければ、おすすめできる漫画になっています。
さて、途中書きましたが、この作品は小島剛夕先生が亡くなる数年前に描かれた作品です。
そこで着目して欲しいのが、漫画内で描かれる何気ない村人たちや子供達の描写です。
一見して物語と無関係のようにも思える、セリフ無しのコマがかなり出てくるのですが、そこに何か憧憬のようなものを感じるのです。
もしこの作品を読んで「なんだこれ」と感じた方がいたのであれば、もう一度、小島剛夕先生晩年の作品、ということを意識して読んでみると、一人の人間のナニカが滲み出ているように感じれるのではないかと思います。
小島剛夕先生のあとがきと合わせて、ぜひ読んでみてください。
ブログ内で紹介してきた作品をまとめた、ジャンルごとのおすすめ特集記事も興味あればぜひチェックしてみてください。時代劇特集記事もありますのでおすすめです。
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詳細は記事にしてありますので、興味がありましたら読んでみてください。
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