実に幅広い表現で多くの読み切り漫画を描いている戸田誠二先生。
今回ご紹介するのは、2008年に内田有紀さん主演で『世にも奇妙な物語』で実写ドラマ化もされた「ボディレンタル」を含む、全7話のいつか来るであろう未来を描いたSF漫画『スキエンティア』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
スキエンティア | 戸田誠二 | 小学館 | 2010年 |
『スキエンティア』は、SF漫画でかなり考えさせられる内容の短編集となっており、多くのエピソードであたたかな感動に包まれきっと涙してしまうと思います。
あたたかな感動、という点では以前ご紹介した穂積先生の『式の前日』とも似ているかも知れません。
『スキエンティア』を読んだら……
戸田先生の深いテーマ満載の珠玉のSF短編が堪能できます。
『スキエンティア』はどんな漫画?
まず世界観をお伝えしておきますと、今よりもずっと科学の発展した近未来が舞台です。
ただ、全然ぶっ飛んだ科学技術が描かれているわけではなく、「もしかしたらあと数年後には実現するのかも知れない技術」が多いのもミソ。
また、全てのお話で舞台となる都市は「スキエンティア・タワー」という高層タワーが中心に建っている都市で、そのタワーのテッペンには『科学の女神』であるスキエンティア像が据えられており、そのスキエンティア像が街を常に見下ろしています。
ちなみにスキエンティアとは英語で言う「サイエンス(科学)」の元になったラテン語です。つまり、科学そのものを指しているとも言えます。
では、スキエンティア像に見守られて展開していく人々の物語、簡単に各話紹介します。
第1話:ボディレンタル
冒頭で触れましたが、このお話が『世にも奇妙な物語』で実写ドラマ化された物語。
SF好きであればなんとなく想像できるかも知れませんが、老いて身体もうまく動かせなくなった老人が、若い女性に身体を借りられるような手術をし、自在に動かせるようになるお話。
最初に書いておきますが、科学に翻弄され悲劇がおこる――ような展開ではなく、基本的にこの『スキエンティア』に描かれている物語は全て素敵な読後感を得られるものとなっています。
第2話:媚薬
なんともイケナイことが沢山起こりそうなタイトルですが、2話は媚薬。
そう、もちろん科学技術で誕生した、好きになっちゃったりドキドキしちゃう媚薬が出てくるお話なのですが……これも本当に良いお話。
ちょっと泣きました。
第3話:クローン
こうやって各話のタイトルを見ていくと、かなり王道でまっすぐなタイトルばかりですね。
第3話はご想像通りのクローンのお話。
しかしクローンを作ることになる理由などでしっかり感動させられる、これまた良いお話。
第4話:抗鬱機
抗鬱機というタイトルとは想像できない、またまた結構感動的で考えさせられるお話。
あなたの周りにもいるかも知れない、なんでも仕事を肩代わりして引き受けてくれる「いい人」、いませんか?
もしかしたらその会社の「いい人」も、抗鬱機使っているのかも……。
第5話:ドラッグ
戸田誠二先生は、裏切るのも上手な気がします。
ドラッグというタイトルを見せられ、冒頭から女子高生の学校生活から話は始まるのですが、その時点ではどうしたって「悪い予感」しかしないものです。
しかし、全然予想していなかった方向に向かい、落ちるので非常に読み進めるのが面白いです。
これもとても良いお話。
第6話:ロボット
人間とロボットとのお話は数多くあり、また人間をロボットが介護するようなお話も無数にあります。
しかし『スキエンティア』に描かれたロボットは、また違う感慨を与えてくれました。
最後の1コマ……ぜひ実際に読んで、何かを感じて頂きたいお話でした。
最終話:覚醒機
全ての物語で、要所要所でスキエンティア像が街を見下ろす様子が描かれています。
さぁその流れでくる最終話はどうなるのか?
ネタバレしないように書いておくと、最後はバンドマンのお話です。
そして、非常に納得のいく形の最終話となっています。
ぜひ、スキエンティア像が見守る街でのSFな物語の結末は、あなた自身で読んでみて下さい。
最後にもう一度だけ書いておきますが、この漫画、本当に全てのお話が良いお話です。
『スキエンティア』はどんな人におすすめ?
何度も書いてきたように、かなり感動しますしお話としてのまとまりも良く、素晴らしいSF短編集になっています。
SF漫画好きな人。
人生の意味を考えたい人。
暗い気持ちになってしまっている人。
戸田誠二先生ファンの人。
王道なタイトルなのにちょっと違う、それいて素敵な物語を読みたい人。
などには全力でおすすめできる作品です。
とにかくあたたかな感動をもらえ、元気も出る。
読む前にはそんな風に思える漫画だとは想像できませんでしたが、本当に良いお話ばかりの傑作でした。
『スキエンティア』を読んだ方の反応
そう、屈折していればしているほど、素直に感動的な『スキエンティア』は響くかも知れません。
そう、しっくりきました。人生を描いてるんです。
あたたかな感動をもらえる近未来のSF読み切り漫画『スキエンティア』は全人類におすすめ
本当に『スキエンティア』は多くの人に読んで欲しいです。
ツイートでも抜粋したように、近未来でありSF漫画ではあるのですが、描かれているのは「人生」なんですよね。
そしてどの物語も、きっとあなたに多くのあたたかな気持ちと感動をくれるはずです。
ぜひ、読んでみてください。
ブログ内で紹介してきた1巻完結・読み切り漫画の中から厳選した本気のおすすめ漫画特集、よければあわせて読んでみてください↓↓
もし電子書籍で漫画をどこで買うのか迷っていたら、こちらの記事↓↓もお読みください。
背表紙表示が素敵すぎるebookjapanについての記事です。
コメント