一家心中をし、両親はそのまま亡くなり自分だけ生き残ってしまった少年。
そんな過去を持つ少年が、不思議な生物と出会い生きるということを少しずつ受け入れていく物語――。
――今回ご紹介するのは、中田祐樹先生による『サカナが潜る白い海』です。
『サカナが潜る白い海』は一言でどんな漫画?
サカナと名付けた不思議な生物が、悲しい過去を持つ少年と暮らし、生きるということを共に学んでいく感動の物語。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
サカナが潜る白い海 | 中田祐樹 | 60ページ | 少年ジャンプ+ |
『サカナが潜る白い海』の超ざっくりあらすじ
幼い頃、両親と共に無理心中をさせられ、一人生き残ってしまった少年リクト。
今は遠い親戚にあたる夫婦に引き取られ育ててもらっているが、その夫婦は「人は産まれてこない方が幸せ」という変わった考え方を持っていた。
ある日、リクトが海で泳いでいると、魚類のような不思議な生物が砂浜に打ち上げられているのを見つけ、助けてあげる。
するとその生物はわずかではあるが人の言葉も話し、みるみる回復していった。
リクトはその生物を「サカナ」と名付け、飼うことにする。
しかし、日が経つごとにみるみる大きくなっていくサカナを見て、リクトは海に返してあげようと思い立ち海へと向かう。
サカナを海へと放ったリクトだったが、しばらく陸で過ごしていたサカナは泳ぐことが出来なくなってしまっていて溺れかけてしまう。
まだ育て親にもサカナの存在を話していなかったリクトは、そろそろ言おうと決意したのだが、そんな矢先育て親であった夫婦が揃って事故死してしまうという悲劇が起きてしまい――。
『サカナが潜る白い海』のネタバレあり感想
生命について深く考えさせられる、とても読み応えのある作品でした。
魚の大群が受精しているシーンから始まり、冒頭でリクトがちんこ冷たい!と言っていたのはおそらくは初めて夢精した事を表しているんじゃないかと思います。
命を作る側に回った瞬間、ですね。
そして序盤からどんどん明かされていくリクトのとんでもなく悲しい過去。
無理心中で自分だけ生き残るって、どんだけトラウマになるのかちょっと僕には想像も出来ません。
さらに今育ててくれている夫婦の思想がめちゃくちゃ変わってます。
全ての人は産まれてこなければよかった――。
進撃の巨人を思い出す、なんとも衝撃的な思想です。
そしてリクトは不思議な生物「サカナ」と出会い、育てることになります。
これ、ネタバレ感想なので書いちゃいますが、要はイマジナリーフレンドのような存在でリクトが作り出した架空のキャラクターという事だと思います。
もちろんそれはクライマックスまでわからないようになっているのですが、一度最後まで読んでからもう一度サカナとのシーンを読み直すと、リクトが様々な事を自問自答している事がよくわかるようになっています。
サカナがやけにリクトに似た達観したような受け答えするなぁ、と思っていたのも、他ならぬリクト自身が作り出した存在だったからなのでしょう。
クライマックスでは、大きくなりすぎたサカナを海に帰そうとするシーンがあり、さらには育て親として良くしてくれた夫婦が事故死してしまうという悲劇も起きます。
その時、リクトは初めて「一緒にいたい」という感情を知る事になり、幼い頃に無理心中をした実の両親の気持ちを少し理解してしまいます。
しかしいざサカナと共に心中しようとした時、リクトは「自分の人生だから」と陸に上がる決意をし、生きていくことになります。
そこで明確には描かれていないものの、サカナという自らの幻影(というか海への執着と死への羨望がある自分?)と決別し、以後は一切サカナは描かれなくなります。
この作品では冒頭から海は生と死両方のイメージとして描かれ、特にリクトは死のにおいを海から感じていました。
それがこのクライマックスで、サカナと別れ、海への想いを断ち切ることの現れとして「陸に上がります」と宣言しています。
最後には死んでしまった育て親からの手紙を読み(この手紙の内容もまた結構深いです)、勝手だなぁ、と呟いてから「いつでも死ねる」と呪文のようにリクトは呟きます。
そしてラストカット、海を眺めるリクトは冒頭で出てきた魚の大群「群来」を見て、完。
なんと言いますか、美し過ぎるほどに綺麗にまとまっていました。
さらにメッセージ強め。
この作品、人によって様々な受け取り方ができると思います。
非常に上質な映画を観たような読後感のある、傑作でした。
『サカナが潜る白い海』を読んだ皆さんの反応
『サカナが潜る白い海』は少年がサカナに教えられた生きる意味を描いた感動のおすすめ読み切り漫画
この作品はとにもかくにも読んでみて、自分なりに考えてみて欲しいです。
まさに海のように深い作品でした。
僕個人の意見としては、割と淡々とした生命についてを描いた作品なのかも、と思いました。
本当に生死について考えたら、行きつくところって案外シンプルな結論になるんじゃないかなと思っていて、この作品はまさに巡り巡ってシンプルなところに落ち着く、生と死への向き合い方を描いてくれていたのではないかな、と。
ただ先に書いたように、読む人によって受け取り方は全然変わってくると思います。
もしまだ読んでいないのであれば、ぜひ読んでちょっと考えてみてください。
そしてこの『サカナが潜る白い海』が面白かったのであれば、作者である中田祐樹先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
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