かなり斬新、かつ面白いアイデアで高く評価をされただけでなく、現在も連載中の人気漫画『ダンジョン飯』はご存知でしょうか?
モンスターをマジに調理するには?という部分を真剣に考えている最高にユニークな漫画なのですが、その作者である九井諒子(くいりょうこ)先生は短編も非常にうまく、職人技!と言った印象を僕は持ちました。
今回ご紹介するのは、九井諒子先生の『竜のかわいい七つの子』という読み切り短編集です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
竜のかわいい七つの子 | 九井諒子 | KADOKAWA | 2013年 |
『竜のかわいい七つの子』を読んだら……
流石九井先生! な珠玉のファンタジー短編が楽しめます。マジにハズレなし。
『竜のかわいい七つの子』はどんな漫画?
『竜のかわいい七つの子』は、7つの短編が収録された読み切り漫画となっています。
全てが表題のように「竜」が関係しているお話というわけではないので、簡単にネタバレしない程度にそれぞれの短編を紹介していきます。
第一話:竜の小塔
第一話は戦争をしている国同士と、国境周辺に巣を作ってしまった竜のお話。
竜といっても、いわゆるドラゴン風な竜ではなく、ワシやタカに近い竜なのもよかったです。
ほっこりストーリー。
第二話:人魚禁漁区
人魚と人間とが共存する世界でのお話。
全体的にほっこり+ちょっと考えさせられる内容で、短いながらもギュギュっと面白さの詰まった良ストーリーでした。
人魚が倒れてたら……助けちゃいますよねぇ?
第三話:わたしのかみさま
この短編集の中でも独特でかなり僕は好きな雰囲気のお話でした。
ちょっとタイトルから内容は想像しにくいのですが、受験を控える女の子と神様のお話で、クスっと笑える要素が多くとても面白かったです。
第四話:狼は嘘をつかない
前半、突如始まる「妊婦さん向けのガイド」みたいな、マジに病院で置いてありそうな内容の漫画が始まり困惑したのですが、そのパートで主人公の境遇をあらかじめ把握した後には絵柄もガラっと変わり現在の生活パートへと移行します。
2段階の構成も面白かったですし、現実に存在している病気などともリンクしているなと感じたので内容以上に結構深いお話。
第五話:金なし白祿
僕個人的にはこのお話が一番好きでした。
そして、よくこの短さにこれだけの物語を詰め込んだな、と九井先生の手腕にうならされる物語でもありました。
時代劇風で、超有名な画家である高川白祿が自分で命を吹き込んだ絵の男とお金を得る為にあれこれと画策していくお話なのですが、終わり方も美しく、いきなりちょっと黄表紙風のタッチになった絵柄と合わせて最後までとても面白く読めました。
第六話:子がかわいいと竜は鳴く
今度は突然中国風な舞台へと変わり、今度はしっかりと「龍」な竜が出てきます。
テーマは子供なのでしょうか?
しかし最後には竜の意外な性質も明らかになり、実在しない動物なのにそこに妙な説得力とリアリティがあるあたり、流石ダンジョン飯の九井諒子先生、と思いました。
第七話:犬谷家の人々
もうタイトルからして「もしや?」と思う方も多いと思いますが、犬神家の一族のパロディ(とも言えないなんとも微妙なラインですが)の、ギャグを散りばめたお話。
想定外なギャグ漫画に驚きましたが、普通に笑いもハイレベル。
金田一を明らかにパクった銅田一という探偵が出てくるのですが、かなり笑えました。
――と、7つの物語それぞれが独特で非常に読み応えのある内容でしたし、連載中のダンジョン飯に繋がる片鱗も多く感じることができ色々と楽しめる一冊です。
『竜のかわいい七つの子』はどんな人におすすめ?
『竜のかわいい七つの子』をおすすめするとしたら――
ファンタジーな世界観が大好物な人。
九井諒子先生が好きな人。
あまり暗くない、ほっこり系の漫画が読みたいと思っている人。
読み切り短編集でわかる漫画職人としてのセンスを感じたい人。
竜がとにかく好きな人。
などでしょう。
物語によってはがっつり時代劇っぽかったり、西洋っぽかったりしますが、現代な雰囲気とファンタジーを合わせたような人魚のお話など、本当に様々な設定でのお話が詰まっています。
そして本当に短い中でのしっかりとした物語作りが上手いな、と思いましたので、ぜひ竜好きファンタジー好き九井好きな方は読んでみて欲しいです。
『竜のかわいい七つの子』を読んだ皆さんの感想
パジャマに変える能力――は最後のエピソードで読めます。
良かった!やはり白祿は面白いのだ!
「わたしのかみさま」もほっこり出来てクスっと笑える、素敵な物語でした。
動物×ファンタジーの短編集が読みたいなら『竜のかわいい七つの子』でほっこりしつつ職人技に震えろ
この短編集、全ての物語に動物が出てくるのですが(魚と人魚を動物とすれば)、それぞれの物語が本当に面白く、ほっこりできる内容になっています。
先にも触れましたが、僕の一押しは「わたしのかみさま」と「金なし白祿」。
この二つは面白さと笑いと感動と、色々なものが実に上手く詰め込まれていたように思いますので、ぜひ読んで欲しいと思います。
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