第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞、さらに第24回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した和山やま先生のクセの塊であり、それでいて人物達が皆魅力的過ぎてクセになる、『夢中さ、きみに。』という漫画をご存知でしょうか?
現在和山先生は『女の園の星』を連載中で、過去にはこのブログでも紹介した『カラオケ行こ!』が発売されています。
『カラオケ行こ!』も、やはり『夢中さ、きみに。』と同じように、とにかく人物が魅力的なお話で、ヤクザと中学生が中心のお話でした。
今回ご紹介する『夢中さ、きみに。』は、高校生が主人公。
派手ではないけれど思わず笑ってしまう、静かなギャグの達人である和山先生の天才っぷりが存分に発揮されている、最高に笑えて最高にステキな空気感に満ちた1巻完結の読み切り短編集漫画になっています。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
『夢中さ、きみに。』 | 和山やま | KADOKAWA | 2019年 |
『夢中さ、きみに。』を読んだら……
一癖ある人物達がとても愛おしくて、本当に夢中になります。天才。
『夢中さ、きみに。』はどんな漫画?
『夢中さ、きみに。』は、全8話構成の短編集になっています。
ただ、8話の内の前半4話は超独特な雰囲気と世界観を持つ男子高校生「林美良」に関連した物語。
そして8話の後半4話は、昔は爽やかだったのに高校に上がると同時にあえて暗い方向へと逆高校デビューした変わり者「二階堂明」に関連した物語の、大きく分けて2人の高校生の物語になっています。
林くんは、中高一貫の男子校での物語でひたすらに林くんの独特の世界観が面白く、それに引き込まれていく周囲の男子高生の反応と合わせて終始ニヤニヤしながら読めます。
もうこの林くんのお話を読んだだけで、「そりゃ色々と賞も獲るよな」と納得の、なかなか言葉にするのは難しい面白さを感じました。
そして後半の二階堂くんのお話では、二階堂くんというクラスの呪物のように扱われているこれまた強烈な高校生が中心のお話4話。
二階堂くんの意外な過去が明かされていくにつれてドンドン好きになってしまう、不思議な魅力を持ったお話です。
林くんと二階堂くん両方のお話に共通しているのは、基本的には2人とは別の誰かの視点で描かれているという点です。
故に漫画を読む僕らも客観的に林くんと二階堂くんを見ることになり、それが面白さにも直結しているように感じました。
そして和山先生の画力の高さ。
非常に繊細で、時に昭和ホラー漫画な雰囲気にもなるタッチがこれまたクセになります。
そもそも表紙絵が最高過ぎます。
総じて和山やま先生のセンスが爆発している、笑えてほっこりできる、読後感も最高な傑作短編集になっています。
『夢中さ、きみに。』を読んだ皆さんの反応
『夢中さ、きみに。』はクセになるほど強烈で魅力的な高校生達の学園物語が展開するおすすめ傑作短編集
和山やま先生のセンスが詰まった『夢中さ、きみに。』は、繰り返し読みたくなる中毒性もありますし、読めば読むほど登場人物が好きになる不思議な魅力に満ちた1冊になっています。
BL要素もほんのり感じはしますが、読んだ感想としてはBLとカテゴライズされるような直接的表現はなかったので、割と苦手な人でもおすすめできます。
和山先生作品の空気感が好きな人にはもちろん全力でおすすめしたいですし、もっと和山先生が好きになることは必至です。
ぜひ、この独特で愛おしい世界観に浸ってみてください。
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詳細は記事にしてありますので、興味がありましたら読んでみてください。
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