漫画なのに音が聞こえてくる……。
漫画なのに、勝手に効果音を読者が鳴らしてしまっている……。
そんな不思議な体験ができる、音にまつわる物語が詰まった短編集を今回はご紹介。
作者は『うたたね姫』などの宮田紘次先生。
宮田先生は2015年に34歳という若さで病気で亡くなってしまったのですが、このような心に残るだけでなく音まで聞こえてくる漫画というのはそうそう描けるものではないでしょう。
渾身の胸に響く漫画、ぜひ読んでみてください。
――というわけで今回ご紹介するのは、宮田紘次先生の『ききみみ図鑑』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
ききみみ図鑑 | 宮田紘次 | KADOKAWA | 2010年 |
『ききみみ図鑑』を読んだら……
漫画から音が飛び出てくるかのような不思議な体験ができる物語を堪能できます。
『ききみみ図鑑』はどんな漫画?
この作品は、番外編も入れれば全部で9つの短編が収録された短編集漫画です。
番外編を除く全てのお話は独立したお話になっているので、サクッと読むことが可能です。
そしてなんと言っても特徴的なのが、タイトルの『ききみみ図鑑』からもなんとなく感じる通り、すべての物語は音にまつわる物語になっています。
ここではそれぞれの漫画の内容をざっくりとネタバレしない程度にご紹介しますので、読もうか迷っている方は参考にしていただければと思います。
第1話 視える音
音楽が嫌いな少年が主人公の物語。
少年が音楽が嫌いな理由は、「音が視えてしまうから」。
最初の物語らしい、ポップで楽しいファンタジーなおはなし。
第2話 奪われた歌
歌を奪われたとある国の女性の物語。
はるばる連れてこられた日本で、その女性を解き放ったのは……。
じんわりと感動できる素敵な物語。
第3話 始まりのリズム
原始の世界での音の始まりを描いた作品。
セリフもオノマトペも存在しない絵だけで魅せる物語ながら、きっとあなたの脳内には様々な音が再生されるはず。
ある意味この短編集の中でも一番スゴい挑戦的な作品。
第4話 天使の声
エレベーターに閉じ込められてしまった新米刑事と、凄腕の泥棒姐さんとのちょっとドキドキするようなやりとりの物語。
声だけだと本質はわからないものです。
第5話 秘密の合言葉
とある女子高校での、厳しい先生とだらしない女子生徒の物語。
誰にでも過去があり、思い出があり、若かった時というのがある……。
爽快感とともにじんわりと心に響くものがある素敵な物語。
第6話 空っぽの音
瀕死で入院しているおじいちゃんと、孫の女の子の物語。
発想がすごい。
第7話 クロウタドリの旅
現代よりはるか未来、地球に住めなくなった時代の物語。
地球に調査にやってきた2人の女性がジャングルで見つけたあるモノ。
それが何であれ、失われた文明というのは輝いて視え、聞こえるものなのです。
第8話 凪の音
個人的に一番ぐっと来た物語。
おそらくは耳なし芳一をモチーフに描かれたであろう作品で、目も視えず音だけを頼りに生きてきた主人公が、耳も失ってしまいます。
絶望のどん底で芳一は何を想うのか……。
番外編 視える音リプライズ
第1話のちょっとした後日譚。
1話の主人公だった音の視える少年は、意外な楽器を手に取ることに……。
『ききみみ図鑑』を読んだ皆さんの反応
『ききみみ図鑑』は音が漏れ聞こえてくるかのような傑作1巻完結短編集漫画
様々な「音」に溢れた短編集……すごかったです。
音は聴くものであると同時に視るものなのでしょう。
そして何より、作者である宮田紘次先生がご存命だったら……と考えると悔しくてなりません。
音と想像力と愛に溢れた短編集、ぜひ試し読みだけでもしてみてください。
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