鉄の匂い、自分との戦い、最後の運行、そして人生。
今回は、以前『犬釘を撃て！』を紹介しました伊図透先生の、比較的初期の短編作品が収録されている作品集をご紹介。
伊図先生の趣味全開のエピソードから、後の連載作品や一巻完結作品にも繋がる(というかベースの話になっている)物語も多く、とても読み応えがあり、相変わらずにシブくて惹き込まれる硬派な雰囲気の作品も。
もし伊図先生の作品を全く読んだことがない方は、これを読んで気になったら間違いなくハマっていくと思いますし、伊図先生作品は読んでいるけれどこの作品集は未読であった方には、色々と気付かされ、かつ先生のセンスの根源を垣間見ることができるでしょう。
――というわけで今回ご紹介するのは、伊図透先生の『辺境で 伊図透作品集』です。
| タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
| 辺境で 伊図透作品集 | 伊図透 | KADOKAWA | 2016年 |
『辺境で 伊図透作品集』は一言で言うと……
伊図透先生の硬派な物語や深い人間描写などの根っこの部分が垣間見れる読み応えある最高の作品集。
『辺境で 伊図透作品集』はどんな漫画？
この作品は、伊図透先生の初期の作品が6編収録されている1巻完結の短編集漫画です。
後の伊図透先生作品に繋がる物語もあり、「こうしてアイデアは膨らんでいったのか！」と考察しながら楽しむこともできます。
他に伊図先生の作品を知らない方も、マニアックな鉄への情熱や、鉄道列車のレール敷設など、激シブな題材にハマってしまうかも。
ここではそれぞれの漫画の内容をざっくりとネタバレしない程度にご紹介しますので、読もうか迷っている方は参考にしていただければと思います。
STEEL BLUE
女子大学生による卒業制作の話。
主人公の女子大生が選んだのが、鉄を使ったオブジェ製作。
手がボロボロになりながらも鉄と向き合っていく、鉄の匂いと良い汗のにおい立ち込める傑作。
靴ひもを結べ！
3人の仲良し少年少女の物語。
あれ？あのキャラ？
と伊図透先生ファンなら思うはず。
そして緩やかに作品集内で繋がっている点も良いです。
靴ひもを結べ！・冬
靴にまつわる物語。
特殊な境遇での暮らしと、靴への執着が興味深く、終わり方もとても良い作品。
すれ違いの描き方もとても美しいです。
辺境で
辺境にてレール敷設工事に従事する男たちの物語。
のちに描かれる『犬釘を撃て！』の人物も登場している、間違いなく原案となった物語。
シブい！そしてかっこいい！
あふれてしずんだお話たち
タイトルの通り、あふれて沈んでしまったのであろう細かな短編3つ。
意外な作風のものから、靴紐～のお話とつながっている物語もあります。
NO TITLE
これまた犬釘へと繋がるレール敷設と列車の物語。
シブかっこいいのは同じなのですが、この物語では意外な結末に。
これもまた人生か。
『辺境で 伊図透作品集』を読んだ皆さんの反応
『辺境で 伊図透作品集』はシブくてあたたかい伊図透先生のセンスの原点を感じる傑作短編集
漫画家さんの初期の作品集ってすごくいいです。
やりたいこと、描きたいこと、本当に好きなのことなどが、かなり真っ直ぐに描かれている気がするからです。
画力も凄まじくストーリーテリングも神ってる伊図透先生のアイデアの源泉。
それだけでも読む価値ありますし、何より読み応えすごい。
ぜひ試し読みだけでもしてみてほしいです。
きっと絵から匂い立つシブいにおいに惹き込まれるはず！
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