この記事を読んでいるという事は、あなたは少なからず『攻殻機動隊』や士郎正宗先生の作品が好きな人であると察します。
僕はテレビアニメ版の攻殻機動隊でハマリ、押井守監督の映画版も見てさらにハマっていった、逆行型のファンです。
面白いのが、テレビアニメ版⇒押井版⇒オリジナル漫画と辿っていくにつれて、難しさが上がっていく点です笑
もちろん、その難しくも知的好奇心に満ちた世界観が一番の魅力であったりもするわけです。
――さて、士郎正宗先生と言えば、『アップルシード』や『攻殻機動隊』の原作者として世界的にも有名です。
そんな士郎正宗先生は、『アップルシード』でデビューする前は、同人誌でオリジナル作品を作っていました。
今回ご紹介するのは、そんな1980年代に同人誌で描かれていた作品で、後の『アップルシード』や『攻殻機動隊』に確実にその影を見ることができるSF漫画『ブラックマジック』です。
士郎正宗先生監督作品で、OVA化された「ブラックマジックM-66」の原作漫画も収録されています。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
ブラックマジック | 士郎正宗 | 青心社 | 1985年 |
『ブラックマジック』を読んだら……
士郎正宗先生の頭の中って昔からずっとスゲェんだな、とよくわかります。
『ブラックマジック』はどんな漫画?
『ブラックマジック』は、古代の金星を舞台にしたびっしりと細かな設定がされた濃厚な世界観のSFサイバーアクションです。
読み始めてすぐに世界観の説明がなされるのですが、そこからいきなり難しいです笑
中心となるのは、デュナ・テュフォンという名のネメシスの末娘の女性。
ネメシスとは金星をユートピアとする為に作られた超巨人級コンピューターで、バイオロイド生成専用頭脳タルタロスとネメシスとが通じ生まれたのがテュフォンです。
また、ネメシスの端末ロボットであるウラノスからバイオロイドの成功例であるクロノスに代わり、さらに大規模な選挙戦の後にクロノスに代わってゼウスが政権を握ることになりました。
先に触れたネメシスの末娘テュフォンは、1度はゼウスによって叩かれたのですが、最後ネメシスによって生成され、ゼウスの目から逃れて育ったのです。
――と、序盤にテキストのみで背景説明が書かれているのですが、何度か読まないと理解できませんでした。
テュフォンはバイオロイドである上に超能力のようなものも使える女性で、とにかく強くて頼もしいです。
それこそ攻殻機動隊の草薙素子に通ずるような、圧倒的強さとスマートさを持ち合わせているバイオロイドです。
そしてやはり士郎正宗先生の作り込みまくった世界観と、これまた設定に凝りまくったロボットやバイオロイド、メカが出てくる部分が最高なポイント。
士郎正宗先生の同人誌時代の作品と言っても画力も高く、メカの描き込みも凄まじいです。
特に冒頭でも触れたように、OVA化されたエピソード「BOOBY TRAP」に出てくる人型ロボットM66、そしてM77の描写はおそろしいほどで、後に展開する士郎正宗先生の様々な作品の原型を感じることができます。
巻末には士郎正宗先生による解説がびっしりと書かれており、それも非常に読み応えのある内容で、M66の体内の構造までも細かく設定されていた事もわかり僕も驚愕しました。
M66のような戦闘用ロボットが、女性の外皮を被っている理由にも触れられていて、もちろんゴミなどが内部に入るのを防ぐカバーの役割もあるし、戦闘時にスケベな男性兵士が一瞬撃つのを躊躇するかも知れないから、とも書かれていて妙に納得してしまいました。面白い。
そんな士郎正宗先生だから、攻殻機動隊などの超名作が生まれたのだな、と納得です。
『アップルシード』ファン、『攻殻機動隊』ファンだけでなく、SF好きとメカ好きにも全力でおすすめしたい、士郎正宗先生の原点を感じれる傑作1巻完結漫画になっています。
難解な部分は繰り返し読んで理解を深め、少しでも士郎先生の頭の中に近づけるよう頑張りましょう笑
『ブラックマジック』を読んだ皆さんの反応
『ブラックマジック』は士郎正宗先生の原点となる圧倒的なまでに作り込まれた世界観が堪能できるおすすめ1巻完結漫画
ツイートを眺めていても、士郎正宗先生が好きな方の多くがアニメでは「ブラックマジック M-66」が最高傑作、とおっしゃっていました。
そのOVAは今回紹介した『ブラックマジック』の中のエピソードから作られており、アニメの方しか見ていない方もぜひこちらの漫画も読んでほしいと思います。
読めばわかる、士郎正宗先生の異常なまでの拘りっぷり、そしてSF愛、メカ愛。
巻末の解説も数ページに渡りギッシリとアンドロイドについてやロボットについての事が書かれており、それを読むだけでも買ってよかったと思えるほどです。
攻殻機動隊やアップルシードにも繋がる士郎正宗先生の原点、ぜひ読んでみてください。
メインで利用する電子書籍サービスに悩んでいるようであれば、背表紙表示があるebookjapanがコレクション欲も満たしてくれるのでおすすめです。
詳細は記事にしてありますので、興味がありましたら読んでみてください。
コメント