『三角窓の外側は夜』や『ドントクライ、ガール』など、実に多様な表現で読者を楽しませてくるヤマシタトモコ先生の、女の子についての3つのお話が収録された『運命の女の子』を今回はご紹介します。
タイトルからどんな内容を想像するでしょうか?
素敵な恋愛のお話?
それともオシャレでちょいエロなお話?
安心してください。
最初のお話「無敵」を読めば、ヤマシタトモコ先生の作品を読む上で内容を予測するなんてことは愚かなのだ、とすぐにわかります。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
運命の女の子 | ヤマシタトモコ | 講談社 | 2014年 |
『運命の女の子』を読んだら……
様々な方向に感情を揺さぶられる、ジェットコースターのような体験ができます。
『運命の女の子』はどんな漫画?
『運命の女の子』は、3つの異なる独立した読み切り短編が収録されているヤマシタトモコ先生の短編集です。
3つの作品に共通しているのはタイトルの通りに「女の子」なのですが、それぞれ全く違う雰囲気の女の子が登場するので全く飽きず、かつジャンルも様々で最高に楽しめる作品になっています。
ここではネタバレしない程度に簡単にそれぞれのお話の内容を書きますので、読もうか迷っているかたは参考にしていただければと思います。
無敵
「運命の女の子ってタイトルだし、無敵ガールな楽しいお話かな?」
と思って読み始めて衝撃を受ける人多数。
自分のことを「無敵」と言ってしまうなんとも不気味な16歳の少女が主役の物語で、とある凶悪な殺人事件の全容を少女への取り調べを通して解明していく、サスペンス風のお話になっています。
どういう展開になるのかは書けませんが、とにかく怖くて、とにかく生々しい描写が心臓をグンと掴んで放しません。
え? ポップな女の子の漫画だと思ったのに……。
と、僕も半ば放心状態のまま最後まで心臓掴まれたまま振り回されました。
本当は今書いた程度の予備知識もない状態で読んでほしいのですが、とにかく「すごい」作品です。
ラスト1ページもここ最近読んだ漫画の中でも屈指の怖さでした。
きみはスター
成績も優秀で、3人ともが演劇部に所属――という不思議な関係での友情を続けている男1人女2人の友情と恋愛の物語。
誰から見てもスターだった男子生徒の甲斐谷、甲斐谷が惚れた唯一甲斐谷に興味を示さない公子、そして少しだけ華がないと言われていた小高。
卒業後、久々に再会した甲斐谷と小高が喫茶店で学生時代に3人で過ごした日々を回想しながら物語は展開していきます。
甲斐谷が公子に対して抱いた恋愛感情と、公子が甲斐谷を拒み続けた理由、そして小高と公子との関係などなど、甘酸っぱくてかなしさも漂う男女の物語です。
非常に複雑な公子の心情は、繰り返し読むと様々な側面が見えてきて実に味わい深い作品になっています。
不呪姫(のろわれずひめ)と檻の塔
3つ目のお話は雰囲気も一転、現代×ファンタジーななかなかに壮大な物語が展開します。
大人になるための儀式として、16歳になると発動する「呪い」を全員がかけられている世界。
人間はその呪いを克服することで、人として大きく成長し、大人になっていくのです。
そんな世界で、滅多に現れないという「呪いが効かない少女」が主人公。
そしてその主人公の少女が、国中を巻き込む大きな事件へと巻き込まれていく、壮大で楽しさに溢れたファンタジーなお話です。
呪いを掛け続ける側の人間の苦労、呪いがかからない少女、少女に恋した少年の秘められた呪い――などなど、実に豪華で読み応えのある現代ファンタジーな恋愛物語になっています。
読後感も爽やかで、実に清々しい気持ちで読み終えることができます。
『運命の女の子』を読んだ皆さんの反応
『運命の女の子』は「無敵」を筆頭に衝撃的で濃すぎるヤマシタトモコ先生の傑作おすすめ短編集
ヤマシタトモコ先生の才能を再確認する、様々な感情に浸れる極上の短編集でした。
迷っている方、ぜひ読んでほしいです。
とにかく最初の「無敵」が怖すぎます。
そして残り2話で癒やされ、ほっこりさせられますので安心してください。
試し読みもできますので、気になったかたはぜひ少しだけでも読んでみてほしいです。
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