まだ存命の頃から「漫画の神様」と評されていた人物、手塚治虫先生。
多くの逸話を残し、また徹頭徹尾漫画を描くことが好きな仕事人であったことも有名です。
僕の実家には、『火の鳥』が一通り揃っていました(なぜか全巻ではなかったのをよく覚えています)。
幼少期から手塚先生の『火の鳥』を読んで育った僕の中で、やはりあの強烈なほどにメッセージ性があり、決して明るくはない雰囲気の漫画に物凄く衝撃を受け、良くも悪くもトラウマと言っていいほどの何かを僕の心の中に残しました。
そのように、必ずしも明るい漫画ではなかったのにも関わらず幼かった僕は繰り返し何度も何度も読んだのは、きっと既に「漫画としての面白さ」を感じていたからだろうな、と思います。
――さてそんな漫画神手塚治虫先生ですが、マジに神様過ぎて実際に生きていて漫画を描いていた頃の手塚治虫像というのがどうしてもイメージできません。
それは特に僕のような手塚先生が亡くなった頃に産まれたような世代には尚更でしょう。
そこで今回は、手塚治虫先生の元で実際にアシスタントをしていた堀田あきお先生が自らの体験を漫画にしてくれた、手塚治虫先生の生態をリアルに知るにはこの上ないほどに貴重な内容ばかりが描かれた漫画『手塚治虫アシスタントの食卓』をご紹介します。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
手塚治虫アシスタントの食卓 | 堀田あきお&かよ | ぶんか社 | 2019年 |
『手塚治虫アシスタントの食卓』を読んだら……
手塚治虫先生の本当の凄さ、神っぷりがよくわかります。
『手塚治虫アシスタントの食卓』はどんな漫画?
『手塚治虫アシスタントの食卓』は、作者である堀田あきお先生(この漫画の作者名は堀田あきお&かよ名義で、今は奥様が原作者として共同で執筆していらっしゃいます)が実際に手塚プロダクションに社員として入社し、手塚治虫先生のアシスタントとして活動していた頃の事が描かれています。
あくまでも堀田先生が見た手塚治虫先生の事が描かれているので、時期としては手塚先生がブラックジャックを連載し始めた後ぐらいの時代です。
もう堀田先生が入社したころには手塚先生は神なので、基本的にはアシスタントとは違うフロアで仕事をし、いつ原稿が上がってくるかもわからない状態。
そのため出版社の編集者が常に手塚プロダクションには詰めていて、今か今かと手塚先生が原稿を書き上げるのを待っているのです。
漫画内でも描かれていますが、手塚先生はその頃全部で7つぐらいの作品を同時連載していたのだとか。
手塚先生の神っぷりと、昼夜問わずひたすら待っている様々な出版社の編集者と、さらにいつ原稿が上がって来て仕上げをやることになるかわからない為常に夜勤と日勤とで分かれてスタンバイしているアシスタントの苦楽がとても興味深く面白いです。
この漫画では一応タイトルに「食卓」がついていますが、グルメ漫画ではないです。
ただ、ひたすらに手塚先生の神原稿の仕上げをしているアシスタント達の救いが休憩時間の食事になっていたのはすごく伝わりました。
物語では手塚プロが手掛けるアニメ製作の事にも触れられており、アニメ製作で忙しくなってしまって手塚先生も超疲れてしまっていたり、アニメ制作部と漫画の部署とでギクシャクしたりと、普通では知り得ない裏側もたくさん描かれていて楽しめました。
また、中盤にとあるアシスタントが退職することになって、手塚先生も含めて送別会をするエピソードがあるのですが、手塚先生の優しさと人間っぽさ、そして嬉しそうにピアノを弾いてくれた、という逸話になぜか涙腺が緩みました。
神様だって、人間だったのです。
総じて、一人の天才漫画家がいかに苦労していたかを少し知れる、非常に面白い漫画でした。
むしろこの漫画は、漫画家を目指している人こそ読んだ方がいいのかも、とも感じました。
アシスタントを実際にしていた堀田先生だからこそのリアリティと裏話が読めて最高です。
『手塚治虫アシスタントの食卓』を読んだ皆さんの反応は?
『手塚治虫アシスタントの食卓』はマンガの神様の凄さを製作現場からの視点で知ることができるおすすめ1巻完結漫画
漫画の神様の人間っぽさまで垣間見れた貴重な一冊『手塚治虫アシスタントの食卓』。
かなり面白かったです。
やはりアシスタントしていた方の生の声というのがこの漫画の最大の魅力でしょう。
巻末には、漫画内に登場するアシスタントの同僚同士での座談会のようなインタビューも収録されています。
最後まで、興味の尽きない手塚治虫先生をより好きになるような魅力にあふれた漫画になっています。
特に漫画好きな方や漫画家志望の方にもオススメです。
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