少年少女の微妙な心の動きを描写するのがめちゃくちゃ上手い福島鉄平先生。
そんな福島鉄平先生の甘酸っぱい少年少女の恋や微妙な関係性を描いた物語5つを収録した短編集『福島鉄平短編集 スイミング』を今回はご紹介します。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
福島鉄平短編集 スイミング | 福島鉄平 | 集英社 | 2014年 |
このブログ内で、過去に福島先生の『こども・おとな』、そして『アマリリス』をご紹介しました。
『こども・おとな』では、小学生に入ったばかりの少年の本当に繊細で微妙な心の機微を独特な空気感で表現し、感動させられました。
そして『アマリリス』ではアブノーマルな世界へ放り込まれた少年の友情や葛藤を描いた衝撃的な内容でした。
今回ご紹介する『福島鉄平短編集 スイミング』は、相変わらずの鋭い心の描写はありますが、どちらかというとストレートに少年少女を描いている印象。
読後感も爽やかで、いつだって福島先生の描く子供達は可愛いので懐かしさと可愛らしさを感じながら読むことができます。
『福島鉄平短編集 スイミング』を読んだら……
懐かしさと切なさを思い出し、なんとも甘酸っぱい気持ちになります。
『福島鉄平短編集 スイミング』はどんな漫画?
この漫画は、全部で5つのそれぞれ独立した読み切り短編漫画が収録されています。
※最後のお話だけは描きおろしの「月・水・金はスイミング」と繋がるお話。
面白いのが、それぞれのお話で若干絵柄が違うこと。
そして、各話の間に挟まれた脱力系の福島先生による裏話漫画が笑えます。
ここでは、簡単にネタバレしない程度に各話内容紹介しますので、読むか迷っている方は参考にして頂ければと思います。
あんねちゃんたろう
中学一年生の男女のドタバタラブコメディ。
もしや闇な展開になるのか?
と、ハラハラしていましたがまっすぐ王道な展開で終わる、爽やかなういういしいラブコメです。
月・水・金はスイミング
表題作。
中学三年生の男女が主役の物語。
同じクラスではあるけれど、特に仲良くもないし話す事もない2人。
共通点と言えば「同じクラスであること」と、「通っているスイミングスクールが同じ」であることだけ。
それだけしか共通点はないのだけれど、どこか心の隅で気にしてしまう存在。
――福島先生の真骨頂とも言うべき、なんとももどかしく、甘酸っぱく、それでいてすごく「あるある」な少年少女の心の機微を描いた作品。
最後のページが心に沁みます。
反省してカメダくん
これまた中学生の少年少女の恋の物語。
しかしこのお話では、主役の2人は普通に付き合っています。
面白いのが、中学生の2人にとっては「付き合う」ということがどういうことなのか、よくわからないという点です。
ただ、これを読みながら「そもそも自分も付き合うって事がどういうことか、わかってなかったよな」なんて思いながら読みました。
まっすぐな少年と可愛さ溢れる少女との素敵な恋愛譚。
きらわれもののマギル
ファンタジーな世界での、少年少女のお話。
少し人よりマセていた少女マギルは、外の世界がいかに危険かを本で読んで知っていた為、皆にその事を必死に伝えます。
しかしいつも「外は危険だ」とうるさいマギルはいつしか皆に嫌われ、孤立してしまうことに。
そんな時、誰にでも明るくて朗らかなジャンルーカという少年と出会い、マギルは少しずつ変わっていきます。
――少女の天邪鬼な部分が全開に描かれていて、とても感動的でかわいらしいお話です。
マギルがおめかしするシーンで心が溶けました。
マドカさんは知らない
「月・水・金はスイミング」と繋がる、コミックス描き下ろし作品。
何を書いてもネタバレになってしまうので、購入した方はぜひご自身で確かめてみてください。
『福島鉄平短編集 スイミング』を読んだ皆さんの反応
『福島鉄平短編集 スイミング』は甘酸っぱい少年少女の心の距離感を的確に描写した傑作短編集
読み終えて、やはり福島先生は子供の心を描くのがうまいな、と思いました。
どうやって描くんですかね?
懐かしさも感じるし、そういえばそうだったなぁ、みたいな感情にもなるし、その辺りのセンスは天才的だと思います。
この『福島鉄平短編集 スイミング』は比較的まっすぐな甘酸っぱい少年少女の恋の物語が多いので、誰にでもおすすめしやすいですし、きっと感動とキュンをもらえると思います。
この1巻完結漫画を読んで少し幼い頃を思い出し、懐かしく甘酸っぱい思い出に浸ってみてはいかがでしょうか?
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詳細は記事にしてありますので、興味がありましたら読んでみてください。
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