このブログ内で何度も紹介してきた短編の名手・戸田誠二先生。
いつどんな短編集を読んでも、そこには愛と人と人生とを考えさせられるあたたかくて深い物語が詰まっています。
今回ご紹介するのは、特に働く人々を描いた作品が多く収録されている『ストーリー』です。
社会人としての経験がある方ならきっと多くのあるあるを発見するでしょうし、共感もするでしょう。
人の心の奥底に潜む暗い感情もしっかりと描かれています。
それなのに決して暗いだけでは終らず、最後にはじんわりと感動させられる。
短編の名手、戸田誠二先生の珠玉のヒューマンドラマをご堪能ください。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
ストーリー | 戸田誠二 | JIVE | 2006年 |
『ストーリー』を読んだら……
生きるということ、働くということ、愛するということを考えさせられる濃密な漫画体験ができます。
『ストーリー』はどんな漫画?
この作品は全部で5つの作品が収録されている短編集になっています。
どの物語もとても考えさせられる内容になっており、戸田誠二先生の作品が好きな方には「流石戸田先生」となりますし、読んだことがない方も「日常をこんなにも見事に切り取り物語にできる人がいるのか!」と感動しちゃうことでしょう。
ここではそれぞれの漫画の内容をざっくりとネタバレしない程度にご紹介しますので、読もうか迷っている方は参考にしていただければと思います。
秀才
印刷物の企画・制作を行う会社でバリバリ働く女性社員・武田を描いた物語。
大口の仕事を任され、全てを捧げる勢いで仕事へ向き合う武田の熱意と、次第に同僚達から疎まれていく感じがなんとも生々しいです。
更には同じプロジェクトでチームになっている男性に対する恋心まで描かれ、まさに忙しい職場の様々な要素を詰め込んだ縮図のような作品です。
ラスト一コマの言葉がやさしく心に響きます。
上陸作戦
かつて水泳選手でありオリンピックを目指していた母は、自らの打ち砕かれた夢を2人の娘へと託した。
娘たちは本当に自分達も水泳がしたいのかわからないまま、母の言うとおりにひたすら水泳に打ち込んだ。
しかしある日、妹が突然水泳を辞めると言いだし、母親には言わずにこっそりと水泳を辞めてしまう。
――本当に自分がやりたいことってなんなのか?
今自分がしていることはやりたいことなのか?
2人の娘の決断に共感すると共に、母親目線で考えると複雑な気持ちになったりと、感情が色々とかき乱される作品。
植物性の家
病死してしまった姉の「土葬してほしい」という願いを叶えるべく、弟と元恋人が奔走するお話。
姉と弟、そして母と父とのそれぞれの想いが描かれるヒューマンドラマで、描かれているものは暗いシーンばかりなのですが、読後感は爽やかで前向きになれます。
家族の生々しい確執などを描くのもやはり戸田先生はめちゃくちゃ巧いのです。
ストーリー
社会に揉まれながら働き、一家を支える柱として頼られる「男」の葛藤を真正面から描いたグッとくる物語。
この作品が描かれた年代が少し前であるとは言え、なんの曖昧な表現もせずにしっかりと男の葛藤と女性に対する羨望が描かれており、きっと男性は少なからず共感するはずです。
そして仕事に追われ、部下をも酷使し、それでも必死に働き続けなければならない現実に心が気づかぬうちに次第に壊れていき……。
表題作にふさわしい、重苦しくて考えさせられる内容なのにしっかりと救われる、戸田誠二先生の真骨頂ともいうべき作品です。
タイトルが胸に沁みます。
It’s a gag life!
定年退職した夫と、そんな夫の扱いに困る妻。
そして内緒でお笑い芸人を目指し始めた娘。
そんな3人が紡ぐ葛藤と笑いに満ちた物語です。
定年退職後の夫と妻とが徐々にギクシャクしていく感じが超生々しくて、読んでいてなんだか胸が苦しくなりました。
さらに娘が放つド正論「私にはお母さんたちが幸せにはみえない」というセリフの重み。
考えさせられますし、最後にはカラッと笑えて泣ける素敵な一作です。
『ストーリー』を読んだ皆さんの反応
『ストーリー』は人生を考えさせられるおすすめの珠玉のヒューマンドラマ短編集
久々に戸田誠二先生の作品を紹介しましたが、ほんとたまりませんね。
やはり先生は愛と人生とを描くのが天才的にうまい。
そして、しっかりと目を背けたくなるような生々しい日常の暗い部分だったりも描いちゃうのがすごいです。
なのに、最後にはなんだか救われる気持ちになる……。
戸田先生の作品を1冊も読んだことがない方はもったいないです!
ぜひ短編の名手、戸田誠二先生の愛に満ちた人と人生の物語、読んでみてほしいです。
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