傑作ホラー漫画の名手、日野日出志先生の名作短編を10編も収録した豪華、かつ怪奇、かつ狂気な一冊が今回ご紹介する『赤い花』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
赤い花 | 日野日出志 | ひばり書房 ゴマブックス | 1987年 2017年 |
まず最初にお断りしておきたいのが、この『赤い花』に収められている作品のほとんどが1970年代から1980年代にかけて日野先生が描いてきた作品であり、今とは時代背景が全く異なります。
その為、現代から見ると「うそぉん!?」というような描写もありますので、時代の差異、そしてその違いを楽しめる方でなければもしかしたら「え」となってしまうかも知れません。
読む際にはその点承知の上でご購入ください。
で、この『赤い花』は日野先生の数ある作品の中から選ばれた10選(タイトルに関連して色が関係しているお話が多かった気がします)を収めた作品。
読み応えすさまじく、流石の濃い描写でホラー漫画ファン、そして日野先生ファンはきっと大満足の一冊かと思います。
『赤い花』を読んだら……
日野先生のいつも通りの怖いホラーから、ちょっとテイストの異なる大人なホラーまで色々堪能できます。
『赤い花』はどんな漫画?
『赤い花』は日野先生の味があり面白みのある10のコワイ物語が詰まった読み切り短編集です。
ネタバレしすぎない程度に、各お話のおおまかな紹介をしてみたいと思います。
胎児異変 わたしの赤ちゃん
日野先生の作品は赤ちゃんが変異してしまうようなお話も多いのですが、この「わたしの赤ちゃん」も超怖い赤ちゃんのお話。
そして日野先生の描く絵に説得力があるので余計におそろしいです。
風の音「ひゅうううううう」がトラウマになるレベル。
ウロコのない魚
少年の何気ない日常も、日野先生にかかればここまで恐ろしく不気味で、さらに超おそろしいラストにもう立ち直れません。
幻色の孤島
トータルで読み応えもメッセージ性もある濃いお話。
孤島に漂着した男のおぞましい体験が描かれますが、日野先生の発想力が本当にすごい。
そしてなんとも意味深なラストカットもぜひ読んで考えてみて欲しいです。
赤い花
悪魔的に美しい花には、必ずその美しさの源になっているものがあるのです。
そう、この作品で描かれる赤い花は、美しい女性から作られているから……
キャアアアア!
それはさておき、内容もさることながら、赤い花を作り出すまでの具体的な描写が本当にクレイジーで最高です。
表題作にもなっている、怖くも美しい名作。
ばか雪
大雪の日に起きた、不思議な現象と少女の影を追う刑事のお話。
途中しっかりホラーで怖いのですが、ラストが意外な雰囲気になりほっこり。
蔵六の奇病
奇病にかかった蔵六がどんどん醜い姿に変わってしまい、村人に村を追い出される話。
以前ご紹介した日野先生の『怪奇!毒虫小僧』に展開はにていますが、醜く変貌していく蔵六は毒虫小僧よりも遥かに恐ろしい容姿になっていきます。
途中、蔵六が自分の血で絵を描くようになる描写があるのですが、あのあたりの発想力が本当に日野先生おそるべし。
七色の毒蜘蛛
日野先生が生まれた時代というのが、戦争がごく身近にあった時代なんだよな、と改めて感じさせるお話。
蜘蛛が背中に住み着いてしまった人々の狂気と、増えていく蜘蛛。
しかし本当にそれは蜘蛛のせいだったのか?
などとちょっと考えさせられるお話。
ゆん手
ゆん手とは、弓を持つ手と言う意味で左手のことを指す言葉でもあります。
そんな自分の「ゆん手」が自分の意志とは関係なく動くようになってしまったら……。
シンプルながら恐いお話。
水色の部屋
再び赤ちゃんのお話。
自分の子供を死なせてしまった夫婦の狂っていく様を狂気に満ちた絵で描いたかなり怖く、おぞましい話。
妻が狂っていく!
まだらの卵
まだらの卵からとんでもない怪物が生まれてしまうのですが、この作品では怪物がガッツリとで出てきません。
代わりに、ラストカットは「あ、地球終わったわ」と思わせる最高に恐ろしいラストになっています。
想像してコワイタイプのお話。
――全体通して非常に読み応えがあり、また作品によって様々な読後感が得られるのでとても贅沢な短編集であると言えます。
僕的に特に面白かったのは、表題作である「赤い花」です。
紹介文でも書いたように、ものすごく細かく「赤い花」が出来るまでが描かれていて、それが本当に気持ち悪いのですがなぜか「面白い」という日野マジックな傑作です。
『赤い花』を読んだ皆さんの反応
こうしてツイートを眺めてみると、やはり多くの方が日野先生の作品でなんらかのトラウマを持っちゃてるんですね。
流石日野日出志先生です。
日野日出志先生の狂気に満ちた味のある昭和ホラー短編集『赤い花』であなたのトラウマ作品をアップデート!
まず日野先生の絵はじっくり見ると本当に味があって面白いのです。
故に何度も読み返したくなりますし、物語も細かく練られているので読むたびに新たな発見があったりもします。
トラウマ級の作品揃いのホラー漫画短編集の傑作、『赤い花』。
途中触れたように、表題作『赤い花』は僕的には特にオススメの作品。
狂気と面白みの両立している傑作です。
試し読みだけでもしてみてください。
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