見た人間の心のままに、映し出す顔が変わる不思議な存在、無貌の人――。
時には富豪の愛人となり、また時には亡くなったかつての彼氏に成り代わる。
そんな顔無き無貌の人が、顔が無い事を見抜く少年と出会ってしまったことで運命が大きく変わってしまい……。
――今回ご紹介するのは、空空北野田（そらからきたのだ）先生による不思議と教訓に満ちた怪奇譚『無貌の人』です。
『無貌の人』は一言でどんな漫画？
顔無き者が他者へと成り代わり転々としながら暮らす中、顔が無いことを見抜いた青年によって狂わされていく不思議で怖くて皮肉に満ちた物語。
この時点でもう読みたい！と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
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| タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
| 無貌の人 | 空空北野田 | 71ページ | 少年ジャンプ＋ |
『無貌の人』の超ざっくりあらすじ
顔も性別も何もない「無貌の人」であるメメ。
メメの何も無い顔は、普通の人間が見た場合その人間が一番大切に思う人の顔が投影される。
その事を利用し、メメは投影された人物に成り代わることでなんとか暮らしていた。
そんなある日、メメは世界的な大富豪の息子であり、大富豪が死んだことにより遺産を相続したばかりという杉沢カンという少年に目をつけた。
早速カンの住む豪邸へと向かったメメだったが、なんとカンはメメを見た瞬間に「どうして君は顔が無いの？」と聞いてきた。
それはつまりカンには大切な人が存在しないことを意味し、面食らったメメはなんとかカンに大切な人を作ろうと様々な場所にカンを連れ出すのだが、一向にカンに大切な人はできそうにない。
しかしそんな日々を続けているうち、ついにカンが心惹かれたのであろう女性と子供が現れ、その家族と出会ってからというもの、カンはメメに対してもそっけなくなってしまう。
メメは自分の中にある黒い感情に気づいてしまい、カンとの楽しかった日々から切り替え、かつての冷徹な本来のメメとしての感情を取り戻しそうになるのだが……。
『無貌の人』のネタバレあり感想
顔も性別もない不思議な人物が様々な人に成り代わり生きていくという、とてもおもしろい設定の作品でグイグイ惹き込まれました。
成り代わって生きてきたメメが初めて出会った顔の無い自分を認識する少年のカン。
メメにとってもそんな出会いは新鮮で、最初は成り代わってやろうという当初の目的を持って行動していたはずが、次第にカンのことが知りたくなっていきます。
そんなタイミングで、カンはついに気になる女性・テイコとその息子アイと出会い、メメに対して冷たい反応をするようになります。
――後にカンはこのテイコとアイに対してはそんなに愛情があったわけではなかったことを明かすのですが、時既に遅し……。
ただこの時のカンのメメに対する冷たい態度は、ちょっと混乱させるような描写だったような気もします。
ずっとメメを好きならもう少し優しかったでしょうし。
最終的にはメメはテイコを殺害、テイコの見たメメは、大切な人であるカンの顔であった為にメメが罪に問われることはなく、カンが容疑者となります。
そしてラストシーンでは、ガラスに映った自分の顔をカンと勘違いしたメメの姿が……。
なにこの怖いお話……。
結局何者でもないメメは何者でもないままで、唯一大切な人が出来てしまったせいで狂ってしまっただけという最高のバッドエンド。
カンもおそらくは崩壊してしまったでしょうし、テイコも殺害されちゃいましたし、救われた人が誰もいないというとんでもないラストです。
でも、読み終わった後の気持ちはとても満足感のあるもので、「いいもの読んだ」感に包まれました。
言い表すのも難しいのですが、世にも奇妙な物語的な感じ……とでも言いましょうか。
ぜひ多くの方に読んでいただいて、それぞれがそれぞれの満足感でアツイ鼻息を出して欲しいなと思う、そんな不思議な力に溢れた傑作でした。
『無貌の人』を読んだ皆さんの反応
『無貌の人』は大切な人の顔のみを映す顔無き者の物語を描いたおすすめ読み切り漫画
顔無き者の、ホラーでもあり愛の話でもあり、皮肉たっぷりな話でもあった今作……。
なんとも言えない読後感に浸れました。
もしまだ読んでいないのであれば、読み応えもあり構成も非常にうまいので唸らされてしまいますからぜひ読んでみてください。
そしてこの『無貌の人』が面白かったのであれば、作者である空空北野田先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
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