小学校に通っていたぐらいの、あの懐かしい日々。
恋をすれば手を繋ぐだけで幸せで、キスをするなんて想像すらできない事だった純粋な気持ち。
――おっさんになった今だからこそとても心に刺さる、「あの頃」の恋や葛藤や秘密を美しく描いた漫画が、尾崎かおり先生の『神様がうそをつく。』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
神様がうそをつく。 | 尾崎かおり | 講談社 | 2014年 |
もしあなたが小学生~中学生ぐらいの年齢であれば、より等身大の物語として読めるのでしょう。
そしてもしそうでない、僕のようにおじさんと言われても「お兄さんだろゴルァ!」とまだ言えるのかわからない年齢に差し掛かっている方にとっては、とても懐かしく、同時に恥ずかしいような、そんな不思議な気持ちになって読める傑作です。
そして、僕はしっかり泣いてしまいました。
『神様がうそをつく。』を読んだら……
小学生のピュア過ぎる恋に心揺さぶられます。
『神様がうそをつく。』はどんな漫画?
『神様がうそをつく。』は、主人公である七尾なつる少年が小学校に転校してきたところから始まります。
まず、描かれているメインの年齢が11歳の小学生だというのがなんとも言えず素敵です。
中学生だと少しませ初めてしまいますが、小学生なんて本当にまだウブなもの。
『神様がうそをつく。』が素晴らしいのは、その小学生ならではの、アマノジャクな言動や行動であったり、好奇心が向く場所であったりが「そういえばそうだったなぁ」と思わせる説得力を持っていることです。
大人とは違う、独特な視点と独特な感想。それらが巧みに描かれています。
なつる少年は早くに父親を亡くしており、今はラノベ作家のお母さんとの2人暮らし。
ある日捨て猫を拾い、その猫をどうしようかと悩んでいるところで、同じ学校の鈴村理生という少女と出逢います。
そして拾った猫を理生に預けて育ててもらうことになり、なつると理生との距離もぐっと近づいていくことになるのですが――。
まず、理生ちゃんの置かれている環境というのがなかなかに壮絶です。
それでも弟と一緒にたくましく生きている理生ちゃんにはきっと好感が持てるはず。
で、当然流れとして理生ちゃんとなつる君が恋に落ちることは想像できるのですが、なんといっても小学生です。
小学生ならではのなんとももどかしい、ピュアでウブなやりとりが、予想できていたのにキュンキュンしてしまいます。
そして2人の距離が急速に近づいてく中、大きな隠し事が明らかになり、物語は予想外の方向へ向かいます。
ぜひその結末は読んでみて欲しいですし、きっと泣いてしまうのではないかと思います。
僕が感じた『神様がうそをつく。』の最大の見どころは、やはり小学生である主人公なつると、ヒロイン理生ちゃんの大人に投げかける素朴な疑問でしょう。
あまりにも正論、なのに上手く答えることが難しいような素直な疑問を彼らは投げかけてきます。
読み進めながら、そんな今はもう思わなくなってしまったシンプルでピュアな問いかけに、なんだか考えさせられてしまいました。
総じて、キュンとする小学生の恋模様あり冒険あり、なおかつ考えさせられるセリフ満載で最後には感動の涙を流してしまう、1巻完結とは思えない良い映画のような漫画でした。
タイトルの『神様がうそをつく。』も終盤意味がわかりますが、非常に深くて良いタイトルだな、と思いました。
『神様がうそをつく。』はどんな人におすすめできる?
『神様がうそをつく。』は誰にでもおすすめできる作品ですし、誰にでもおすすめしたいのですが、強いて言えば――
小学生だった頃のうぶな気持ち、純粋な気持ちを思い出してみたい人。
純度100%の恋物語が読みたい人。
最後には爽やかな感動の涙を流せる物語を読みたい人。
娘がいるお父さんな人。
には特に強くおすすめしたいです。
お父さんな人はなぜか? 読めばわかります。
『神様がうそをつく。』を読んだ皆さんの反応
尊い。
ちなみに涙を誘うシーンは複数あり、涙腺緩みおじさん化してる僕は3か所ぐらいで泣きます。
これぞ1巻完結漫画のすばらしさ。
その物語がまとまって自分の手の中にある、という満足感。
『神様がうそをつく。』を読んであの頃のピュアな気持ちを思い出し、どうぞ浸りながら泣いてください
あなたは小学生の頃、恋してましたか?
僕は親友と同じ女の子のことが好きになり、喧嘩した記憶があります。
でもあの頃って、好きになっても何がどうなるわけでもなく、ただ「一緒に帰る」とかだけでスーパー幸せになっちゃったりしたんですよね。
いやはや、懐かしいですし、今の小学生もそうなのであって欲しいと願うばかり。
――など、そんな色々な思い出を振り返りながら、キュンとする恋模様を読んでみて欲しいですし、感動しちゃって欲しいと思います。
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