あなたは小学校時代のことって覚えているでしょうか?
僕、正直に言いますが記憶力が悪くて、幼い頃の記憶をあまり覚えていないのです。
しかし小学校での出来事で強烈に覚えていることがありまして、それが「クーピーの一本一本に名前をつけて遊ぶ」というオリジナルな遊びをしていたこと。
今思えば「何やってたんだろ」と馬鹿らしいのですが、子供ってそういう一見意味不明な事を超真剣にやりますよね。
そして、その時の僕にはしっかりクーピーが「名前を持った何か」に見えていたはずなのです。
今回ご紹介するのは、奇才天才と名高い松本大洋先生の大ボリュームの1巻完結漫画『GOGOモンスター』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
GOGOモンスター | 松本大洋 | 小学館 | 2000年 |
あの頃だけ見えていた何か。
それを描いた、大人になってからではもう理解できない特別な世界のお話です。
『GOGOモンスター』を読んだら……
松本大洋先生の描いた世界から帰って来れなくなりそうでした。
『GOGOモンスター』はどんな漫画?
クラスの中でも変わり者で、浮いた存在であるユキ君。
ユキには学校に存在する不思議な存在のナニカを感じることができます(ただしいわゆる超能力のようなものではなく、あくまでもユキの妄想の可能性も排除していない点がこの作品のミソ)。
ユキには学校での唯一の理解者がいます。
それは用務員のおじいさんで、ガンツと呼ばれています。
ガンツは、ユキにさまざまな事を教えてあげ、一緒に植物を育てていたりもします。
そしてユキはガンツに、次第に学校に巣食っている悪いモノがひどくなっていることを相談します。
ある日、転校生が4人やってきます。
その内の1人であるマコトという同級生が、誰も近寄らないユキに興味を示し、仲良くなろうと近づきます。
ユキとマコト、さらにいつも段ボールを被っている謎の少年IQ。
日に日に不思議なものを見る頻度が増えていくユキはナニカと決着を付けることができるのか?
そもそもナニカとは何なのか?
——というようなお話です。
このお話は、「こういう話だよ」と説明するのが非常に難しいです。
理由は、どう解釈するかで全く受け取り方の異なる作品になってしまう可能性があるからです。
ネタバレしちゃうのであまり書けませんが、見方によっては「若い頃のただの妄想」とも読み取れますし、「あっちの世界との戦い」の話にも読み取れます。
同時に、万人におすすめできる作品でもないです。
人によっては何も感じない作品になるかもしれませんし、人によっては刺さり過ぎて永遠の宝物になる可能性もあります。
僕はどうだったか?というと、小学校の時に妄想したものだったり、世界に対して感じた漠然とした疑問だったり、そういったものを次々と思い出し、同時になんだか寂しい気持ちになりました。
たぶん僕は、もう永遠に戻れないし体験できない「あの頃」を羨む気持ちを一番強く感じたのだと思います。
作品全体の雰囲気は、しっかりと小学生の目線に落とされていて、自然と小学生の時の目線、考え方に「入って行ける」ような感覚があります。
それも、きっと漫画の1コマ単位で表現されている「あの頃の感性」のような物を感じることが出来るからだと思います。
あなたが何を感じるか?
それはもう本当に読んでみないとわからない、さすが松本大洋先生な傑作です。
『GOGOモンスター』を読んだ皆さんの反応
『GOGOモンスター』はあの頃にしか見たり感じたりすることのできない世界を描いた、不気味で不思議な大傑作
色々とこの作品を読んでのレビューなどをみてみても、さまざまな解釈がなされていて「読む人によって印象が変わる」作品であることは間違いなさそうです。
僕はもう戻れないあの頃を思い出し、すこし寂しい気持ちになった、と書きました。
いかようにも解釈が出来る作品は、どうしても賛否分かれます。
ストン、とお話として決めて欲しい人にとっては嫌でしょうから。
でも、こうした様々な想いを巡らせることが出来る作品ってすごいと思うのです。
一気にユキとマコトのいる小学校へ入っていく感覚。
あなたも入り込んでみて下さい。
そして、彼らが見たもの、感じたことを一緒に考えてみて下さい。
そこに何が見えるか、それはあなた次第です。
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