美しい容姿をした鬼が、宿場に住み着き人を襲ったという理由で斬首されることになった。
しかしその鬼はなぜか手指の欠けた人間だけは襲わず、斬首にあたった男はその理由を鬼に聞いてみた。
すると鬼は、人間の子供と鬼との間に存在する恐ろしい風習と、悲しい物語を語り始めたのだった……。
――今回ご紹介するのは、鏡ハルカ先生による『手指の鬼』です。
この作品はアフタヌーン四季賞2020秋において準入選した作品で、ようやくネット上でも公開されました。
レベルが非常に高いことでも知られる四季賞、準入選ですが四季賞獲っててもおかしくないレベルのすごい作品です。
※ちなみに四季賞2020秋での四季賞受賞作は、ここでも以前ご紹介しました『だから、いっしょに帰ろう』です。気になる方はあわせて読んでみてください。
『手指の鬼』は一言でどんな漫画?
人間に捕まり、斬首される直前の鬼が語った「指の欠けた人間は襲わない」理由を描いた恐ろしい風習と感動が味わえる傑作読み切り。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
※↓↓タップ(クリック)で読めます。
タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
手指の鬼 | 鏡ハルカ | 41ページ | コミックDAYS |
『手指の鬼』の超ざっくりあらすじ
人の暮らす宿場に住み着き、捕らえられた鬼・勝部。
勝部はなぜか手指の欠けた人間だけは食わなかったので、討伐隊の男は最後にその理由を勝部へと尋ねた。
理由については語ろうとしなかった勝部だったが、討伐隊の中に1人だけ指の欠けている男がいる事を知り、最後だからとその理由を訥々の話始めた。
――勝部の暮らす鬼の集落には、人間の子供を攫ってきて育て、7歳になると食べる、という「稚児食い」という風習があった。
勝部はその集落で、捨(すて)という名の人間の子供の世話を命じられ、捨が7歳になるまで育てた。
そして風習の通り、7歳に成長した捨を食べるという日が近づいてきた。
勝部は捨に好かれている事はわかっており、それが理由で捨を嫌っていた為、捨が自分も含めた鬼達に食べられるというのは清々するイベントのはずだった。
しかし稚児食いの日の前日、勝部はこっそりと捨の寝所へ忍び込み――。
『手指の鬼』のネタバレあり感想
美しい鬼、稚児食いという恐ろしい風習、そして指の欠けた人間を食わない理由……。
絵のタッチや雰囲気も抜群に良くて、物語の核となる要素もうまく絡み合って物凄く上質な物語になっています。
舞台となる時代設定も現代ではないのも良くて、決して明るくはない絶妙な暗さが漂う世界観になっているのです。
勝部は捨に「勝部がいちばん好き」と言われた日以来、捨のことが疎ましくなります。
その裏腹な感情もなんとも味わい深いですし、それがクライマックスには一気に逆の感情となり(というか勝部自身がその感情から目を背けていただけ?)捨を助けることに繋がります。
その際に、捨の指を食べる勝部の描写がありますが、痛がる様子や恐怖を感じているであろう捨の様子も生々しく、単に「逃してあげた」だけのシーンになっていないのが深いです。
そしてラスト、斬首される直前に捨に気づく勝部の優しい表情と、手を伸ばす捨の様子がなんとも泣ける……。
ラストカットが斬首する刀が振り上げられているシーンなのも、ものすごく心に残ります。
言い表すのが難しいのですが、単に「面白かったぁ!」というタイプの作品ではなく、上質な物語をじっくり味わい、ジワジワ心に沁みてくるタイプの傑作……であると思います。
斬首されるという悲惨なラストなのに、なぜか明るい気持ちになれるし、心はあたたかくなる。
すごい作品です。
『手指の鬼』を読んだ皆さんの反応
『手指の鬼』は捕らえられた鬼が最後に語った悲しい物語を描いたおすすめ読み切り漫画
鬼が最後に語る悲しい物語。
そして感動と衝撃のラスト。
――実に不思議な読後感のあるあたたかい作品でした。
これで四季賞準入選なんですよ……おそろしいでしょう?
もしまだ読んでいないのであれば、あなたの心にきっと何か深いものを残してくれると思うのでぜひ読んでみてください。
そしてこの『手指の鬼』が面白かったのであれば、作者である鏡ハルカ先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
※冒頭でも紹介しましたが、この作品が準入選だった四季賞でのタイトル獲得作品も紹介済みなのでよければ読んでみてください⇓⇓
ブログ内で紹介してきた1巻完結・読み切り漫画の中から厳選した本気のおすすめ漫画特集、よければあわせて読んでみてください。
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