超ストレートなタイトルでいきなり笑わせてくれる読み切り作品『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』。
小説の魅力というのは人によって様々だと思うのですが、僕が思うに「想像力を抑制するワクがない」ことだと思います。
僕は時代小説が大好きで、一時期は司馬遼太郎や池波正太郎、あとは隆慶一郎なんかにドハマリしまして暇さえあれば何かの小説を読んでいる――という時期がありました。
小説の中に広がっている世界というのは、文字だけの世界です。
しかし、文字を追って入り込んでいく世界には、想像のワクというものが存在しないのです。
テレビであれば見ている映像こそが想像のワクであり、あれこれ想像することも出来ますが、ある程度の情報を与えられていることが逆に自由な想像の足を引っ張るのです。
しかし小説――今回ご紹介する作品で言うところの文学は違います。
文学には最初から想像のリミッターがなく、どこまでも想像でき、どこまでも考えを深めていくことが出来るのです。
そして、文学がちょっとでもえっちな描写でもしようものなら、それはとんでもない深さと濃さを持って読者の想像力を掻き立てるわけです。
今回ご紹介する『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』は、まさにそんな文学の良さを真正面からわかりやすく教えてくれる作品になっています。
『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』は一言でどんな漫画?
文学の本当の奥深さを知る少年が「えっち」な表現の素晴らしさを説く文学薀蓄コメディ読み切り。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
ぼくは文学のえっちなところが好きだ | 安藤コウヘイ/馬渕朝子 | 25ページ | 少年ジャンプ+ |
『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』の超ざっくりあらすじ
文学部に所属する少年――通称エロ先輩は、その日も自らが構築した文学作品群に囲まれた部室で1人読書に耽っていた。
すると突然部室に騒がしい挨拶をしながら女子生徒がやってきた。
その女子生徒もまた文学部の部員なのだが、エロ先輩にはなぜその女子生徒が文学部に入ったのかいまいちわからずにいた。
女子生徒は、エロ先輩に「今日はどんなえろい本を読んでいたんですか?」と唐突にたずねた。
その女子生徒は、エロ先輩が難しい顔をして本を読んでいるように見せて、実はえっちなシーンを探していることを知っていたのだ。
全てを見抜かれている事を悔しがりながらも、エロ先輩は女子生徒に今読んでいた本を教えてあげる。
それは、太宰治の『女生徒』。
そしてエロ先輩による「いかに『女生徒』がえっちか」の熱い説明が始まる――。
『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』のネタバレあり感想
本が好きな方はもれなく楽しめるんじゃないかと思える内容で、面白かったです。
ただ、この漫画だけで考えるとギャグも超面白いわけではないので、僕の解釈としては太宰治の『女生徒』がものすごく読んでみたくなるし、純文学にも興味が湧くきっかけとなる読み切り漫画――として捉えると最高なんじゃないかと思いました。
実際、かつて読んだ太宰作品を読み返したくなりましたし、女生徒は読んでいないので読みたくなります。
太宰治の作品って、物凄く心に重くのしかかってくるので元気な時じゃないと読めないのですが、えっちなら大丈夫な気がします笑
この漫画でも語られているように、文学におけるえっちな描写って物凄くえっちです。
同時に、太宰治が上手い「人間の暗い深層心理」みたいな描写もまた物凄い破壊力をもって読者の心を襲うので、時にはヘビー過ぎるのです。
――この漫画内では、少しではありますが実際に『女生徒』の一文を引用し、絵もつけて紹介してくれています。
それを読めばわかるのですが、やはり一流の作家の文章というのは本当に美しいです。
何気ない日常を、細かな心理描写だけで読ませる。
これって凄い技術だと思うのです。
語彙力とかいう話ではなく、感性でしょうか。
素晴らしいです。
なんだかこの漫画のおかげで本当に小説を読みたくなってきました。
こんな気持にさせてくれる漫画ですから、もっと他の文学名作を紹介する連載もできちゃうのでは?
なんて本気で思う、きっかけをくれる読み切りでした。
『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』を読んだ皆さんの反応
『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』は文学の深さを知る少年が文学の素晴らしさを説くおすすめ読み切り漫画
文学作品に触れたくなる、とても文学の魅力がよくわかる作品でした。
かなり攻めたタイトルも、しっかり作中で説得力のある説明がなされていたおかげで名前負けしていないのもすごかったです。
もしまだ読んでいないのであれば、ぜひ読んでみてください。
きっとなにか小説を読みたくなること間違いなし!
そしてこの『ぼくは文学のえっちなところが好きだ』が面白かったのであれば、作者である安藤コウヘイ先生と馬渕朝子先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
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