妹が久々に戻って来た実家では、どこか雰囲気の違う姉が待っていた。
姉妹が抱える暗くて悲しい過去と、変わってしまった姉……。
――今回ご紹介するのは、ちょっと哲学的で考えさせられるようなテーマも盛り込まれた小野未練先生による不思議な姉妹の物語『完璧な庭』です。
『完璧な庭』は一言でどんな漫画?
姉妹が久々の再会で感じた違和感と、明かされていく暗い過去と向き合い、前向きに生きていく不思議で考えさせられる物語。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
面白そうかどうかの判断がつかない方は、この記事を読み進めていただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
完璧な庭 | 小野未練 | 50ページ | コミックDAYS |
『完璧な庭』の超ざっくりあらすじ
夏のある日、久々に実家へと帰って来た怜(れい)は姉である翠(みどり)とやはり久々に再会した。
翠はずっと続けている粘菌の研究をまだ継続していることを怜に呆れられるが、同時に新種の粘菌を発見したことを怜へと告げる。
その新種の粘菌は、食べたものの形質を模倣し、そのままその生物に成り代わり、記憶まで引き継いでしまうのだという。
そして翠は、おもむろに自らの首を取り外し、目の前にいる翠こそがその粘菌であることを怜へと告白する。
取り乱し、混乱する怜だったが、冷静に考えれば考えるほど、「テセウスの船」のパラドックスのように「身体は全て代わってしまい記憶だけが姉である生物はそれでも姉と呼べるのか?」と難しい思考に陥ってしまいどんどんわからなくなってしまった。
考え事をしながら歩いていた怜は、近所の人達の前でつまずいて転んでしまう。
その時、怜の右目周りには広範囲にヤケドの痕が。
近所の人達はかつて怜が親に虐待されており、さらに両親とも亡くなっていることをヒソヒソと噂し合う。
怜はだから村を出たんだ――。でも事故で脚を悪くしたらしいお姉さんの方はまだあの家に住んでいるらしい――。あのお姉さんは妹に置いて行かれて気の毒だ――などなど。
その時、丁度姉の翠が通りがかり、近所の人達を追い払った。
その日の夕食時。
いつも通りに話そうとする翠に、怜は正直に「あなたは誰なの?」と聞いた。
姉の身体をした別の生き物は一体何と呼べるのか?
それは姉の記憶を持っているだけの別の生物ではないのか?
混乱した頭で一人部屋にこもった怜は、そこで過去の暗い出来事を思い出すのだが……。
『完璧な庭』のネタバレあり感想
全体的には暗くて重い雰囲気の読み切り作品ですが、結末は前向きになれる、ちょっとじんわりとくる感動的なものでした。
姉が首を外して新種の粘菌に食われたことを告白したあたりでは「これどうなっちゃうの?」と思いましたが、思ったよりもしっかりまとまっていたのと、姉が粘菌と入れ替わっていることで「テセウスの船」のパラドックスを思い出すことになるとは思いませんでした。
思考実験的なのって楽しいですからね。
※テセウスの船とは、ギリシャの伝説が元になっているパラドックスの1つ。
将軍テセウスが乗っていたという船をなんとか保存しておきたいからと修理し続け、老朽化した部品を交換しまくっていたら、最後には全部のパーツが新しいパーツに入れ替わってしまったのです。
では、もはや元のパーツは1つも使われていないその船はまだテセウスの船であると言えるのか? というパラドックスです。
この作品内でも、もはや姉ではない生物に食われ、記憶も身体もそのままになっているナニカは姉と呼べるのか? というパラドックスに直面してます。
パラドックスって基本的には正解がないので、怜がどう捉えるか次第です。
この作品内では、最初は取り乱しまくっていた怜も最後にはそれが姉であることを認め、生きていく事を決意しています。
終盤には、虐待されていた怜と、それを助けようとした翠、そして両親が事故死した原因は実は翠だった?ということがわかっていきます。
さらには、翠が事故で悪くした脚を、身体が入れ替わってもそのままにしていることなどについても語られ、姉妹は改めてお互いを認め合うことになるのです。
お姉ちゃんがあえて脚を悪いままにしたのも(当然粘菌化してるのでいつでも治せる)、妹に自分が姉であることを判ってもらう為だという部分がこれまた深いです。
漫画として読むのと同時に、自分ならどうするか?と考えてみるとめっちゃ深いですよ。
例えば、自分の恋人とかが粘菌に食われてしまい、身体も記憶も心もそのままで再会できたとしたら、果たして自分はそれでも元のように生活できるのか?
ちょっとそんな事を考えてみると、より楽しめちゃうかも知れません。
『完璧な庭』を読んだ皆さんの反応
『完璧な庭』は暗い秘密を抱えた姉妹が絆を確かめ合い前向きに生きていくまでの物語を描いたおすすめ読み切り漫画
姉妹の絆、そして体が入れ替わってしまった姉は姉と呼べるのか? などなど、色々と盛沢山で面白い読み切り作品でした。
結末はハッピーエンドなので読後感も良いので、まだ読んでいないと言う方はぜひ読んでみて欲しいです。
そして、この『完璧な庭』が面白かった方は、ぜひ小野未練先生をフォローして応援してあげてください。
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