1年に1度だけ、母が帰って来ない日がある……。
父はその秘密を知っているようなのに、教えてはくれない。
両親の秘密を追いつつ、自身も複雑な恋に区切りをつけるべく苦悩するヒロインの女性。
――表題作「忘れられない」はそのようにして始まります。
僕らが恋をしてきたのと同じように、自分達の両親もまた恋をしてきていて、中には簡単には娘や息子には話せないような恋もあったはずなのです。
そんな両親の秘めた恋、そして同時に進行していく自身の恋をうまく絡めて描いた極上の恋愛譚。
今回ご紹介するのは、谷川史子先生による心温まりかなり泣ける短編集『忘れられない』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
忘れられない | 谷川史子 | 集英社 | 2012年 |
『忘れられない』を読んだら……
娘の恋と母の恋にダブルで泣かされます。ハンカチ10枚スタンバってどうぞ。
『忘れられない』はどんな漫画?
『忘れられない』は、表題作である「忘れられない」を含む6つの物語が収録された短編集です。
※6つと言っても、「告白物語」はいわゆる編集後記的な漫画です。
収録されている物語は全て恋愛系のお話で、前を向けるような明るいお話が多いのでだれにでもおすすめできます。
特に表題作である「忘れらない」は泣ける傑作です。
ざっくりと各お話の内容をネタバレしないよう書いてみるので、購入する際の参考にしてください。
「告白物語」は先に触れたようにあとがき的漫画なので省きます。
忘れられない
智花の母は、毎年1度だけ、桜の季節になると帰って来ない日があります。
智花の父もそれを許しているようなそぶりなのでそこまで気にしていなかった智花でしたが、ある日ひょんな事から母の過去のアルバムを発見してしまい衝撃的な写真を見てしまいます。
智花自身も少し複雑な関係になっている元彼がいて、智花と元彼との関係、そして母親が智花に言わずにいた年に1度の小旅行の謎とはなんなのか?
――というお話です。
母親の年に1度の小旅行の秘密を全て知った時、きっと泣いてしまうことでしょう。
というか父親もまた泣かせるんですよね。
そして智花自身の恋の結末も、胸を打つものになっています。
忘れられないままで生きていく……読めばわかる、最高の名言です。
とても感動的で良い物語です。
つまさきで踊る
少女漫画の編集者をしているイケメン主人公森の宮。
実直すぎる性格でいまいち周りの人の上手くいかず、恋愛も過去の出来事から前を向けずにいる森の宮がとある書店の女の子との出会いから変わっていくお話。
登場人物がみな魅力的で嫌味じゃなく、最後までキュンとしながら爽やかに読めるお話です。
エンドレスマーチ
おじいちゃんが亡くなった時に残した遺言。
その遺言が、ヒロインの杏にだけは「おじいちゃんとの思い出のアレ」という謎の遺言でした。
その謎の遺言と、杏とおじいちゃんの過去にあった出来事を紐解いていくお話。
こんなことある? と思いつつもじんわり感動する爽やかなお話。
春の前日
結婚が決まった同級生の男性を祝いにガーデンパーティーへ参加した主人公の女性。
その男性との思い出と、ほのかな気持ちをかえりみる短くて少しだけ切ないお話です。
細かなポイントに男性の「らしさ」を感じている描写がなんだか素敵です。
タイトルも少し『式の前日』的。
『忘れられない』を読んだ皆さんの反応
『忘れられない』は母と娘それぞれの切なくあたたかい恋を描いた泣ける傑作短編集
誰にでも忘れられない恋があって、それを無理に忘れる必要はなくて忘れられないまま生きていけばいいのです。
そんなメッセージも込められている「忘れられない」。
例えば過去の恋愛を引きずっているような人や、今の恋人に対してうしろめたい何かを持ってしまっている人には特に深く刺さる作品かも知れません。
そして何より、全てを受け入れているお父さんにこそ僕は深く感動しました。
母と娘の感動の恋愛譚が収録されている『忘れられない』は、ぜひハンカチをご用意してお読みください。
表題作だけでなく、他の短編もとても心あたたまる良いお話揃いです。
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