なんだかんだで恵まれていて、少しのお金があれば何でも揃うこの世界。
すごく生きやすいように感じる一方で、実は多くの制約やルールにがんじがらめにされていて「生きにくい」と感じることだって多くあると思います。
例えばその中の一例が、必ずどこへ言っても自己紹介などで言わされる「特技はなんですか？」という質問。
そんなにみんな特技ってありますかね？
僕も冷静に考えてみたんですが、思いつきませんでした。
じゃあ過去にはなんと答えていたのかと言えば、適当にその時の趣味だとかを言い方変えて言っていただけな気がします。
――今回ご紹介するのは、そんななんとも言えない絶妙な切り口で人の心の動きを描写する奥灘幾多先生による『特技は特に』です。
かつてこのブログでも奥灘先生の『いろはちゃんはキモい』を紹介していますが、奥灘先生はなんと言っても人の奥底の微妙な心を描写するのが抜群にうまいです。
そして、単に明るいだけの漫画ではなく、むしろ微妙な心の機微を的確に描くことでどこか不安にさせるようなテイストもある、独特な読後感の作品になっていました⇓⇓
そして今回の『特技は特に』は、僕は知らなかったのですがこのブログを見てくれているという方からおすすめ作品として教えていただきました。
本当にありがとうございます。
こうしておすすめしたくなるほどに人の心に響く独特な読後感の作品。
読んで納得の不思議な深みのある作品でした。
『特技は特に』は一言でどんな漫画？
特技を聞かれ困ってしまう女子大生が挑戦と失敗を経て少しだけ成長する、心の機微の描写がすごく細かいヒューマンドラマ読み切り。
この時点でもう読みたい！と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
※今作は奥灘幾多先生のTwitter上で公開されている漫画ですので、Tweetをそのまま埋め込みしています。
| タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
| 特技は特に | 奥灘幾多 | 24ページ | 奥灘先生Twitter |
『特技は特に』の超ざっくりあらすじ
女子大学生・片品みえは、その日内定をもらっている会社の内定式へ出席していた。
その式中、みえは「特技」を自ら発表するよう促されるのだが、思いつかずに「ありません」と答えてしまう。
幼馴染の涼真に「なぜ特技を答えなかったのか？」と聞かれたみえは、特技がないからだと涼真に答える。
しかし涼真からすればみえは十分に多才であり、みえのその考え方は周りも含めて「生きにくく」してしまう考え方であることを指摘する。
そしてみえはその日から、特技を作るべくルービックキューブを始めることにするのだが……。
『特技は特に』のネタバレあり感想
特技って、そう考えると答える必要あるのか？ なんて読みながら思ってしまいました。
特技を自信を持って答えられる人はすごく羨ましいです。
そして多くの人は特技を声を大にして答えられるほどの自信は持っていないんじゃないか？ と思うのですがどうでしょう……。
この作品のみえは、幼馴染の涼真からすれば文学賞に投稿していたり、十分に特技を持っているようにも見えます。
しかしみえ本人は全くそれが特技だとは思っておらず、なぜかルービックキューブを始めます。
けれどもみえはルービックキューブの大会に出てビリになり、挫折。
そして大学での講義に出席していたとある生徒が、みえよりもルービックキューブの腕前が低いにも関わらず堂々と「特技はルービックキューブ」と言っていたことに衝撃を受け、気付かされます。
結局のところこの作品は「自信を持つのって難しい」ということがテーマだと思われ、みえのように考えてしまいなかなか自信を持つことが出来ない人が最後に少しだけ自信を持って自分の特技を言う――という物語なのだと感じました。
実際、この作品でのみえのように堂々と自分の特技を言うのって難しいです。
けれども、大した特技でなくともガンガン言っている人の方が人生楽しそうだったり、色々と上手くいっているように見えてしまうものです。
実に難しい！笑
今こうして僕が書いてきた事も含めて当然みえも理解していて、だからこそ最後に小説のタイトルになっていた「生きやすくって生きにくい」というこれ以上ない的確な１コマで漫画は結ばれたのでしょう。
読む人によって全然印象の異なる漫画だろうとも思いました。
僕は、ものすごい共感をこの作品を読みながらしてしまいました。
あなたは何を感じるか？
すごく深くて考える余地のある作品ですので、ゆっくりじっくり読んでほしいな、なんて思いました。
『特技は特に』は生きやすいけど生きにくい現実を描いたおすすめ読み切り漫画
非常に深くて考えさせられる作品でしたし、独特な読後感の作品でもありました。
本当に教えて頂いた方に感謝です。
もしまだ読んでいないのであれば、ぜひ読んでみてください。
きっと心に響く何かがあるはず！
ただしその何かは人によると思います。
そしてこの『特技は特に』が面白かったのであれば、作者である奥灘幾多先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
⇓⇓なんと先生がこのブログの特集記事を貼ってくれていたのでシレっと貼っときます。ありがとうございます。（ヒューマンドラマ傑作選のやつ）
ブログ内で紹介してきた1巻完結・読み切り漫画の中から厳選した本気のおすすめ漫画特集、よければあわせて読んでみてください。
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