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涙の代わりに咲く花を祓う不思議で感動的な傑作読み切り『他向け花』【おすすめ読み切り漫画】

悲しいことが起きた時、「私に涙を流す資格なんてない」などと思い泣くことを我慢してしまった経験はないでしょうか?

どこか後ろめたい気持ちがあったり、自分の中で釈然としない部分がある時などにぐっとこらえて涙を流すことを我慢してしまう……。

そうすると、代わりにあなたの身体には花が咲くのです。

――というわけで今回ご紹介するのは、鷹野聖月(たかのみづき)先生による『他向け花』

こちらの作品はアフタヌーン四季賞2020秋において大賞を受賞した作品であり、読めば納得の面白さと驚きと感動の詰まった傑作になっています。

『他向け花』は一言でどんな漫画?

祖父を亡くしたのに泣けない少女と祓い屋の、不思議で泣けて衝撃展開もある凝縮されたヒューマンドラマ&ファンタジー読み切り。

この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。

読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。

※↓↓タップ(クリック)で読めます。

タイトル作者本編ページ数読めるサイト
他向け花鷹野聖月55ページコミックDAYS

『他向け花』の超ざっくりあらすじ

泣くことを我慢しすぎると身体に出来てしまう花。

花屋へとやってきた少女・黄楊子(つげこ)は、祓い屋もやっているという由伸彦(よしのぶひこ)によって身体に咲いた花を祓ってもらった。

夜になり、 黄楊子は亡くなってしまった祖父の仏壇の前で手を合わせていたが、やはり涙は出ず再び身体には大量の花が咲いてしまう。

花が咲きまくり重くなった身体で、黄楊子は再び花屋を訪れ、大量の花を祓ってもらうのだが、由伸彦には「泣きたい時にはちゃんと泣いたほうがいい」と助言されるも、黄楊子はそれを頑なに拒否する。

しかしある日、死んでしまったはずの祖父が夢に出てきた事をきっかけに、黄楊子の中での感情が爆発し、由伸彦にも「そこに咲いたら気をつけて」と言われていたノドにも巨大な花が咲いてしまい黄楊子は全身が花で覆われんばかりになってしまうのだが……。

『他向け花』のネタバレあり感想

まず、この漫画は黄楊子という少女が、死んでしまったおじいちゃんに対して後ろめたさを持っており、それにより「自分が泣いていいわけない」と思い込んでいます。

故に黄楊子は強引に泣くことを我慢してしまい、それが血涙となって身体に花を咲かせてしまっているのです。

黄楊子パートはある意味で「おじいちゃんあるある」な内容にもなっていて、大好きなのに、なかなか上手くその気持を直接伝えるのは難しかったりもします。

そして黄楊子は頑なに「泣く資格なんてない」と思い込みすぎているせいで、祓い屋に咲いた花を祓ってもらってもどんどんと花は咲いてきてしまいます。

おじいちゃんへの後ろめたさが爆発するシーンはなんとも感動的で、おじいちゃん大好きな人にはきっと涙腺崩壊まっしぐらな内容だったのではないかと思います。

どうぶつビスケットもまたいい味出してます。

そしてクライマックスでは、感情が爆発してしまった黄楊子を祓い屋の由伸彦が救い出し、しっかりと黄楊子は号泣することが出来てめでたしめでたし。

――と思いきや、衝撃のラスト。

由伸彦の隣に常にいた勇衛という女性が実は事故で亡くなっており、由伸彦はその悲しみを押し殺して他人事とは思えない黄楊子の花を祓ってあげていたことが判明します。

え、何その悲しすぎる展開!

――先に「黄楊子パート」と書いたのはそういうことで、1度最後まで読み終わった後に衝撃を受け、きっと誰もがもう1度最初から読み直したくなるハズなのです。

そして2度目を読むときには、おそらくあなたの中での主人公は由伸彦に変わっているはず。

いつから勇衛は亡くなってしまっていたのか?

由伸彦の頭の花飾りはもしかして全部が血花なのか?

などなど、考察が捗って止まらなくなります。

すごい作品です。

1度目でちゃんと感動させられたのに、2度目には主人公が代わって読むことができ、さらには多くの伏線を見つけていくことでどんどん作品が深くなっていく……。

四季賞大賞も納得の、実にうまく構成された傑作読み切りでした。

ぜひ読んであなたなりに深く考察してみてほしいです。

『他向け花』を読んだ皆さんの反応

『他向け花』は涙の代わりに咲く花を祓う不思議で感動的なおすすめ読み切り漫画

涙を我慢すると花が咲く――という絵的にもキレイな設定に加え、その花を祓う祓い屋に、おじいちゃんの死、そして心にぶっ刺さる名言の数々と、実にてんこもりで凝縮された傑作読み切りでした。

最後の衝撃展開も含め、きっともう一度最初から読み直したくなること間違いなし。

もしまだ読んでいないのであればもったいないですから、ぜひ読んでみてください。

そしてこの『他向け花』が面白かったのであれば、作者である鷹野聖月先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。

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