突然ですが、最近缶コーヒーって飲んでますか?
正直僕は缶コーヒーなんて最近あまり飲まなくなってしまいました。
ただ、思い出は沢山あるし、昔はすごく飲んだ記憶があります。
というわけで、今回は缶コーヒー好きな人もそうでない人もきっと暖かく優しい気持ちになる、幅広い作品を描くことでも有名なマキヒロチ先生の傑作短編集『旅する缶コーヒー』をご紹介いたします。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
『旅する缶コーヒー』 | マキヒロチ | 実業之日本社 | 2014年 |
日常系でさらに缶コーヒーというネタにも関わらず、しっかり感動要素も盛り込まれており、僕はなんとほぼ全てのお話で涙ぐんでしまうという悲惨なまでの涙腺崩壊ぶり。
もちろん、それこそこの漫画が優れた作品であることの証明でもあります。
『旅する缶コーヒー』を読んだら……
缶コーヒーにまつわる、とてもハートウォーミングで泣ける珠玉の短編が堪能できます。
『旅する缶コーヒー』はどんな漫画?
『旅する缶コーヒー』は、全部で11の異なる独立した短編が収録された1巻完結の作品になっています。
どの話も缶コーヒーが必ず出てきて、さらにどこかの地名がタイトルに付けられています。
では、ネタバレしない程度に各話ざっくりと内容を紹介していきますので、購入する際の参考にしていただけたらと思います。
第1話:広島・尾道
第一話は広島県からグラビアアイドルになるために東京へと出て行った女性と、初めて缶コーヒーの味を教えてくれた主人公の女性が思いを寄せる少年との話。
ジョージアのエメラルドマウンテンが登場しますが、ものすごく寒い日に飲む缶コーヒーは本当にシミルんですよね。
大人になってからあまり缶コーヒーを飲まなくなってしまいましたが、僕自身の中でも思い出の中にちょいちょいと登場するキーアイテムだったりします。
第2話:京都・中京区
職場でのお昼休憩中、外でタバコを吸っていると喫煙所の目の前の自動販売機で同僚の女性が缶コーヒーを買おうとしています。
それを目撃した主人公の男性は、その女性が缶コーヒーを買おうとしたのにミルクティーが出てきてしまうと言う悲劇を3回も繰り返すのを目撃。
そんな面白い現場を見てしまった男性はその女性に思い切って声をかけ、2人は急速に仲良くなっていきます。
滅多にありませんが自動販売機でたまに起こるそういった不具合を面白おかしく描き、オチもしっかりほろ苦く落としてある素敵な作品です。
第3話:東京・中目黒
小さい頃に父親が家を出て行ってしまいいつか会ってみたいなと思っている少年。
大人になり父もやっていたというカメラマンの仕事を始め、とある現場で凄腕のカメラマンと出会います。
このお話も缶コーヒーがテーマにはなっているのですが、飲むための缶コーヒーではない使い方をしているのは非常に面白いなと思いました。
そして最後はしっかり涙ぐむ展開になるので、缶コーヒーとハンカチをご用意ください。
第4話:長野・八ヶ岳
昔から何かと気が合ってはいたけれど、どこかで「自分はこの友人に見下されているのではないか?」といつも思っていた主人公の女性。
ある日親友と一緒に登山へ行き、そこで思わぬ親友の本音を知ってしまうことに……。
この話は誰が読んでもきっと色々と考えさせられてしまうンじゃないかな、と思うとても素敵なお話でした。
人が何を考えているかわからないものですし、相手もまた自分が何を考えているかなどはわかってくれていないのかもしれません。
第5話:イギリス・ロンドン
結婚して5年目の夫婦の話。
突然旦那さんが奥さんをイギリス旅行へと誘うのですが、奥さんは旦那さんが浮気をしているのではと疑っており、そんな疑いを旦那さんへ持ってしまっているタイミングでイギリス旅行を提案されたので尚更疑心暗鬼になってしまいます。
旦那さんはやはり浮気をしてしまっているのか?
なぜ旦那さんはいきなりイギリス旅行へ妻を誘ったのか?
なんだか夫婦のありかたのことも少し考えさせられてしまう、とても暖かくて素敵なお話です。
第6話:茨城・古河
この話は1番の問題作であるように思いました。
主人公男性があまりにも生々しい笑
奥さんの誕生日の夜、花束を買いタクシーを待っている男性。
本当は早く帰れるはずだったのですが、職場で嫌なことがあり残業する羽目になり終電近くになってしまったのです。
主人公の男性は、少しハゲかかった頭にメガネ姿、妻には臭いといつも罵られ、娘にはどうして髪の毛がないの?と聞かれる毎日。
それでも妻の誕生日を祝ってやろうと男性はタクシーを待っているのです。
問題作だと言ったのは、ものすごく近い境遇にいるような人にはちょっと刺さり過ぎるかもしれないからです。
でもしっかりと缶コーヒーは出てきて心が救われる、そんなほんのりと暖かいお話になっています。
第7話:東京・銀座
職場にいる、美人なんだけれどかなり嫌な感じの上司。
永遠に好きにはなれないだろう、とその上司のことを嫌っていた主人公の男性ですが、ひょんなことからその女性と急に近づくことに。
あれ? この物語はもしかして缶コーヒー出てこないのかな?
なんて思いましたが、ご安心ください。
むしろ市場1番出てきます。
そんなことある? と言うようなラストではありましたが、笑えて心温まるお話でした。
第8話:東京・調布
30代なのに若くして命を落としてしまった女性の葬儀に集まる親友4人。
亡くなった親友を想い、様々な思い出話に花が咲きますが、亡くなってしまった女性の好きだった人の名前がどうしても思い出せない4人は夜であるにもかかわらず缶蹴りをすることになります。
僕としては、この短編集の中で1番心にじんわりとくる作品で、しっかり泣いてしまいました。
あれ? 缶コーヒー出てきたっけ? と一瞬思いましたが、なるほど缶蹴りですね。
第9話:東京・杉並
歯の矯正をしようとしている少女と、女手一つで少女を育ててきたお母さんとのお話。
お母さんと娘の絆、そして最後にはお母さんにとってのビックイベントがありこれまたホロリと感動させられるお話です。
第10話:東京・初台
元旦の朝、新宿から初台までの距離を寂しいからと歩いて帰っている3人組のオネェのお話。
3人は幸せについてなどを語っているのですが、途中で道に倒れているおじさんを発見、救急車を呼ぶことになります。
実は僕は昔初台に住んでいたことがあります。新宿から初台までは歩けば30分ほどで帰れてしまう道のり。
初台独特の高架下の雰囲気など、懐かしく読むことができました。
この話の最後でオネェたちが感じた幸せのあり方は何なのか? ご自身の目で確かめてみてください。
第11話:新潟・小千谷
最後はマキヒロチ先生ご自身の体験だと思われる、災害時に中身を無料で開放すると言う自動販売機をめぐって旅するお話。
先生の缶コーヒーへの餞とも言うべき、最後にふさわしいほんわかしたお話です。
確かにこれを読んで思ったのが、缶コーヒーは災害時等は意外な活躍をするのかもしれませんね。
『旅する缶コーヒー』を読んだ皆さんの反応
『旅する缶コーヒー』缶コーヒーとハンカチをご用意して読むといっそう楽しく、そしてリラックスして読むことができる1巻完結の読み切り漫画です
正直なところ缶コーヒーはあまり飲まないと言う人は多いと思うのです。
先にも書きましたが、僕自身も一時期好きで飲んでいたのですがある日を境にほとんど飲まなくなってしまいました。
そしてこの旅する缶コーヒーを読んでいたら、ふと缶コーヒーが飲みたくなり久々に買ってみたのです。
すると缶コーヒーの神様があまりにも缶コーヒーを飲んでいなかった僕への罰と言わんばかりにこんなことをしてくれました。
↑↑丁度コーヒーぶちまけた時に、登山のお話の一番いいところ。
缶コーヒーの神はいますぜ。
漫画専用に使用しているタブレットに見事にぶちまける結果になりました。
とにもかくにも……ぜひあなたもたまには缶コーヒーも買ってみてください。
そして缶コーヒーを味わいながら、ぜひこの作品を読んでみて下さい。
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