戦国時代好きの皆様、関ヶ原の合戦の漫画でございますぞ。
とは言っても、少しだけマニアックな関ヶ原の合戦での敗軍である西軍にスポットを当てた作品になります。
作者は、以前このブログで『明智光秀』をご紹介した時と同じ、戦国時代の漫画において僕個人としては非常に好きな先生である岡村賢二先生が。
これはもう、確実に面白くて濃い内容であることが察せます。
描かれている西軍武将は、石田三成、大谷吉継、直江兼続の三武将。
というわけで今回は、岡村賢二先生による関ヶ原の合戦の西軍三武将を描いた1巻完結漫画『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』をご紹介します。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』 | 岡村賢二 | リイド社 | 2013年 |
『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』を読んだら……
石田三成、大谷吉継、直江兼続の生き様がよくわかります。西軍って好き。
『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』はどんな漫画?
『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』は、タイトルの通りに関ヶ原の合戦で西軍についた武将を描いた戦国漫画です。
全部で5話の構成になっており、石田三成に2話、大谷吉継に1話、そして直江兼続に2話という構成です。
ざっくりと簡単に、それぞれの武将のどこからどこまでが描かれているかだけ紹介しますので、読むのに迷っている方は参考にしてください。
石田三成
最初に石田三成。
石田三成は天下分け目の関ヶ原の合戦において西軍を指揮した中心的武将です。
よく勘違いされがちですが、三成が関ヶ原の合戦の西軍において中心だったのは間違いないのですが、総大将ではありません。総大将にはあくまでも相応しい貫禄を持つ人物として毛利輝元が就いています。
その三成を織田信長が本能寺の変で倒れ、明智光秀が秀吉に葬られ、さらにその後に柴田勝家と秀吉との間で起きた賤ケ岳の戦い(しずがたけのたたかい)から描いています。
賤ケ岳の合戦の際、秀吉軍は美濃から近江までの52キロの道のりをわずか5時間で行うという、中国地方からの大返しにも似た美濃大返しなる離れ業をやっているのですが、その際に若かりし頃の加藤清正と福島正則との軋轢が生じ始めている描写もしっかりあります。
そしてその後大谷吉継という無二の友と出会い、秀吉に仕え大躍進を遂げていく三成ですが、朝鮮への戦争と秀吉の死を境に風向きは変わっていきます。
最後はご存知徳川家康の画策と、大いなる反撃の計画としての関ヶ原の合戦が起き、石田三成は最後の戦いへと赴くことになっていきます。
――敗軍の将として戦国時代でも特に有名なのが、本能寺の変を起こした明智光秀と、関ヶ原の合戦で敗れた石田三成ではないでしょうか?
僕は個人的に石田三成が大好きですし、司馬遼太郎の小説『関ヶ原』も繰り返し読んでますし、映画化された関ヶ原も見に行きました。
つまりは、割と関ヶ原好きとしての自信はあるわけですが、好きだからこそ言えるのが「関ヶ原の合戦の全容をわかりやすく表現するのって物凄く難しい」のです。
何しろ関ヶ原に至るまでを描いたら、家康の細かな裏工作も描かねばなりませんし、豊臣家の抱える複雑な問題も避けては通れません。
今回紹介している漫画も例外ではなく、「関ヶ原の全容がわかる漫画ではない」事は要注意です。
あくまでも、石田三成と大谷吉継と直江兼続それぞれに焦点を当てたお話だという事です。
それでも、絶大な信頼と圧倒的まとめ力を持つ岡村賢二先生ですから、石田三成の関ヶ原に掛ける想いと哀しみはしっかりと描かれています。
石田三成へのイメージがあまりよくない人にこそ読んで欲しいな、と思います。
大谷吉継
関ヶ原の合戦における、最も「義」を貫き気高く戦ったのは間違いなくこの大谷吉継ではないでしょうか?
病魔に侵され体中の皮膚がただれてしまっていた大谷吉継ですが、最後まで石田三成を裏切らず「負け戦」であるとなんとなく勘付いていても義の為に命を懸けて戦う。
カッコイイ!
この漫画の中では1話のみの少ない出番ではありますが、しっかりとカッコよさも表現されていて、最後の突撃のシーンでは鳥肌必至です。
そういえば以前紹介した武士道入門漫画にも大谷吉継の逸話が取り上げられていました。
直江兼続
愛染明王の「愛」を形にした兜を被って戦ったことで有名な直江兼続がこの漫画の締めくくりの武将です。
漫画内では、上杉家のお家騒動である「御館の乱」で上杉景勝に仕えるところから描かれています。
そして上杉景勝の元で経験を重ね、勇将であると同時に智将としても称えられる名武将へと育っていきます。
そんな直江兼続は、秀吉の天下統一後に石田三成と出会い絆を深めていきます。
そして関ヶ原の合戦の引き金とも言える、超有名な家康への手紙「直江状」を家康へと送り付けるのです。
※直江状とは、家康が上杉景勝に送りつけてきた「上杉家もしかして裏切ろうとしてない?」というような内容の弾劾状が送られてきたことに激怒した上杉景勝と直江兼続が、痛烈に家康を批判するような内容を書きまくった直江兼続の書いた挑発的お手紙の事。
この辺りの経緯もまた複雑なのですが、三成と兼続が裏で計画していた説などもあります。直江状で家康を怒らせて上杉景勝征討へと向かわせる⇒その隙に三成も宣戦布告して東西から家康を挟撃する――という作戦です。これが示し合わせたものだったのか、それともたまたま上杉征討に向かった家康を見て三成が「チャンス!」と軍を起こしたのか、はたまた直江状に怒って上杉征討に向かったのも全て家康の三成を誘い出す為の演技だったのか……真相は謎です。
漫画内では関ヶ原の合戦が始まったあたりで直江兼続編も終わってしまいます。
一応付け足しておくと、家康は三成が挙兵したことで関ヶ原へと踵を返して向かった為に上杉勢との対決はしておらず、直江兼続もまた関ヶ原の合戦本戦には参加していません。
代わりに、家康と口裏を合わせて戦うはずだった奥羽や出羽の武将達が浮足立ってしまい次々に撤退。
そんな中以前から上杉とは仲の悪かった最上義光は撤退せず(とはいえ停戦交渉など色々していたらしいですが)、上杉も万が一徳川と最終決戦となった時の邪魔になるからと最上義光との戦いを決意します。
この合戦は北の関ヶ原とも呼ばれ、結末は上杉軍の負け。
こちらの関ヶ原でもやはり東軍が勝利した、という恰好になっています。
いやはや関ヶ原の合戦は本当に日本中を巻き込んだ大戦だったわけです。面白い。
『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』を読んだ皆さんの反応
『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』は関ヶ原に散った西軍武将の軌跡を追ったおすすめ1巻完結戦国漫画
関ヶ原の合戦における西軍武将達の生き様が描かれている『関ヶ原英傑伝 ~西軍の殉将たち~』は、戦国時代好き、そして関ヶ原の合戦好き、もっと言えば西軍好きの人には全力でおすすめしたい1巻完結読み切り漫画になっています。
最後に描かれているのが直江兼続というところも僕としてはポイント高いです。
そして相変わらずの凄い画力とまとめ力の岡村賢二先生、流石です。
ぜひ、気になった方は読んでみてください。
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詳細は記事にしてありますので、興味がありましたら読んでみてください。
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