子供達が必死になって走る「レース」という謎の賭け事が行われている世界での、死の匂い漂うちょっと怖くて考えさせられる読み切り漫画『クマ送り』を今回はご紹介します。
作者は大森センター先生。
この作品は、アフタヌーン四季賞の夏のコンテストにて四季大賞を受賞した作品です。
『クマ送り』は一言でどんな漫画?
いつ食肉にされるかもわからない恐怖に怯えながらもレースをしながら生きる子供達の考えさせられる漫画。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
面白そうかどうかの判断がつかない方は、この記事を読み進めていただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
クマ送り | 大森センター | 45ページ | コミックDAYS |
『クマ送り』ざっくりあらすじ
とある町――その町では娯楽としてクマ耳の子供達を賭けの対象として走らせるレースが流行っていた。
子供達のあいだでは「成績の悪い者は食肉に加工されてしまう」という噂がささやかれており、皆命を懸けてレースへと参加していた。
母親を亡くし、今はレースの賞金でおばあちゃんと暮らしているレオはその日友人のむぎと一緒に帰宅したが、たまたまむぎが「パパ」と呼ぶドン・ニコラも来ていた。
むぎの父親はもう亡くなっており、今はファミリーと呼ばれる組織に育てられているのだった。
ある日、いつものように遊びながらレオとむぎは走り回っていると、ちょっとした油断で崖から2人して転落してしまい、レオは足を骨折してしまった。
それを知って一番怒ったのはドン・ニコラで、「レースの人気者であるレオがしばらく抜けることによる損失を埋める為にも誰かが犠牲になり出荷しなければいけない。だからレオが出荷されるか、他の誰かが出荷されることにするか、選べ」とレオは究極の2択を迫られることになる。
最初は自らが犠牲になろうと思っていたレオであったが、土壇場になると恐怖心が勝ってしまい――。
『クマ送り』のネタバレあり感想
最後まで子供達の正体が何であるのかは明かされないのですが、恐らくはタイトルと見た目から「食用にもなり得るクマ的な何か」なのでしょう。
レースをさせられており、成績が悪いと食用にされてしまう噂がある――という設定が非常に不気味で、さらに主人公のレオと仲良しのむぎ、そして一番怖いむぎのパパがいい具合に作品全体の空気を引き締めています。
終盤では、レオとむぎが遊んでいる時にレオが足を怪我してしまい、それがきっかけで「レオがレースで稼げない分を誰かが食用として売られることで賄わなければいけない」という超絶恐ろしい選択を迫られることに。
さぁこれは一体どういう風に終わらせるのか?とハラハラしていると、まさかのレオくんが土壇場でビビってしまい結局むぎちゃんが売られていくことに……。
この辺りの描写はとてもなまなましくて良かったです。
レオくんが一度は「僕が!」みたいに言いそうになるのに、直前になって死の恐怖に襲われる感じ……胸が苦しいです。
1つだけ気になった点が、皆が一様にフード?のようなものを被っている姿なので、ちょっと誰が誰だかわからなくなることが多かったです。
――総じて、命についてを考えさせられる、ちょっとダークな雰囲気の傑作読み切り漫画です。
余談ですが、アイヌ民族の文化にも熊送りという、神々の世界へ熊の姿で訪れた神様を送り返す儀礼が存在します。アイヌの熊送りには2つのパターンがあり、この漫画に近いものは「小熊を一定期間飼育後に絞め殺して祭る」方法かと思われます。
『クマ送り』を読んだ皆さんの反応
↑僕はスカイクロラを思い出しました。
『クマ送り』はダークで命について考えさせられる子供達の物語
アフタヌーン四季大賞を受賞しただけあって、なんとも考えさせられる内容の読み切り漫画になっていました。
世界観もダークではあったものの、牧歌的で良い雰囲気もありました。
読んでいない方は、無料で読めますのでぜひ読んでみてください。
多くの方におすすめできる傑作です。
ブログ内で紹介してきた1巻完結・読み切り漫画の中から厳選した本気のおすすめ漫画特集、よければあわせて読んでみてください↓↓
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