2年間引きこもり、容貌も性格もすごいことになってしまった少女。
それを外へ出す為に尽力した友人の少女と、引きこもり少女との感動の物語――になればよかったのですが……。
――今回ご紹介するのは、説明するのも難しい心の微妙な変化を鋭く描いた奥灘幾多先生による読み切り作品『いろはちゃんはキモい』です。
『いろはちゃんはキモい』は一言でどんな漫画?
引きこもり少女と、引きこもりを辞めさせた少女2人の微妙で不思議な距離感を鋭く描いた独特な雰囲気のヒューマンドラマ漫画。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
いろはちゃんはキモい | 奥灘幾多 | 33ページ | コミックDAYS |
『いろはちゃんはキモい』の超ざっくりあらすじ
久々に地元へと帰省した女子大学生のかな。
その日かなは2年間引きこもっている3歳年上の幼馴染の少女・高松いろはの家を訪ねた。
いろははすっかり見た目も性格も暗くなってしまっており、いろはにお願いされたかなは正直に今現在のいろはの悪いところを書き出して教えてあげた。
その日以降、いろはは少しずつ努力をし、引きこもりを辞める為の練習を始めた。
いろははかなの協力もあり、どんどん美しい容貌へと変わり、念願だった大学への受験にも挑戦することになる。
トントン拍子で前へと進んでいくいろはだったが、かなは父親が死んでしまい、金銭的にも苦しくなってきたために大学と並行して夜の仕事もするようになる。
――なんとなく対照的な方向へと向かっているようないろはとかな。
そして2人はその日いろはが受験した大学の合格発表の場へと来ていたのだが……。
『いろはちゃんはキモい』のネタバレあり感想
ものすごぉく「こんな漫画です」と説明するのが難しいタイプの作品で、けれどもなぜか夢中になってしまう魔力もある不思議な作品。
引きこもり少女のいろはちゃんを、幼馴染で年下のかなちゃんが正直に今現在はキモいということを教えてあげて、いろはちゃんが変わっていくように協力してくれる展開なのですが……。
とても細かな心理描写がなされている作品で、それこそ冒頭に久々に帰省したかなが「地元の駅に着いてすぐ小中の同級生に遭遇してしまいました。」と日記風に書いているのですが、嬉しい再会ではなく遭遇と書いているあたりがものすごく共感できます。
さらに、いろはちゃんに対する視線であったり、いろはちゃんのお母さんがいろはちゃんにお金を渡した時の表情であったり、実に細かな部分でかなちゃんが抱えている想いや暗い部分というのが見え隠れします。
実際、かなちゃんはお父さんが入院しているだけでなくお金にも困っていて、色々なものを抱えているわけです。
引きこもり少女が立ち直っていく姿も、幼馴染として応援したい気持ちと同時に、終盤の合格発表のシーンのように「転落してしまえ」という暗い願いが全く無かったわけではないのではないか?と思います。
このあたりの超微妙な心の揺れ動きを描いた作品で思い出すのは、1巻完結漫画の『ちーちゃんはちょっと足りない』とか、吃音症の少女が主役の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』です。
両作品とも、少し様子のおかしい女の子が主役のお話で、志乃ちゃんの方は号泣しちゃうお話ですし、ちーちゃんの方はほっこりな雰囲気から一気に暗く怖い展開になるほぼホラーな内容。
タイトルもなんとなく似てますし、きっと今回紹介している『いろはちゃんはキモい』の奥灘幾多先生もこれら作品を意識してるんじゃないか?とちょっと思いました。
※↓↓志乃ちゃんとちーちゃん、両方ともブログ内で紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。
そしてクライマックス、暗い気持ちを持ってしまったかなちゃんでしたが、合格し喜んで駆け寄ってきたいろはちゃんを抱きしめて共に涙します。
ああよかった!
これでハッピーエンド!
友情って素晴らしい!
――と終わるのかと思わせておいて、最後の1ページでのかなちゃんのセリフがまた不穏です。
「いろいろなことがあるけれど、これからもいろはちゃんとは関わっていくんだろうなと思いました」
これっていかようにも取れる言い方だと思いますが、もし僕がこのセリフを言うんだとしたらちょっとめんどくさいなと思っている友人に対して言うと思います。
この最後の1ページを読んで、僕はこの作品が単に綺麗な幼馴染との友情を描いた作品ではなく、人間ってこういうものだよね、という本質的な「人間くささ」を描いた作品なんじゃないかと思いました。
あなたは何を感じるか? ぜひ読んで自分なりに考えてみてほしいです。
『いろはちゃんはキモい』を読んだ皆さんの反応
『いろはちゃんはキモい』は引きこもり少女と友人の微妙な心情を描いたおすすめ読み切り漫画
なんとも複雑な感情にさせられる不思議な物語でした。
たた、こういうの僕すごく好きです。
人間のエグ味が出てると言いますか、キレイゴトじゃない心理描写というのが最高です。
もしまだ読んでいないのであれば、ぜひ読んでみてください。
そしてこの『いろはちゃんはキモい』が面白かったのであれば、作者である奥灘幾多先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
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