『寄生獣』や『ヒストリエ』などの超大作漫画を描き続けている岩明均(いわあきひとし)先生。
その、特に『ヒストリエ』に繋がるかのような古代ローマを舞台にした全6話からなる1巻完結漫画が今回ご紹介する『ヘウレーカ』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
ヘウレーカ | 岩明均 | 白泉社 | 2002年 |
『ヘウレーカ』を読んだら……
古代ローマを舞台にした知的で胸アツな戦いが楽しめます。
『ヘウレーカ』はどんな漫画?
まず『ヘウレーカ』がどんな漫画であるかは、タイトルになっている「ヘウレーカ」から考えるとよりわかりやすいです。
「ヘウレーカ」は、天才的な数学者であり物理学者でもあったアルキメデスが、浮力を説明する原理である「アルキメデスの原理」を閃くきっかけになった逸話から来ています。
ヒエロン2世は金細工職人に金塊を渡して、神殿に奉納するための誓いの王冠を作らせることにした。しかし王冠が納品された後、ヒエロン王は金細工師が金を盗み、その重量分の銀を混ぜてごまかしたのではないかと疑いだした。
もし金細工師が金を盗み、金より軽い銀で混ぜ物をしていれば、王冠の重さは同じでも、体積はもとの金地金より大きい。しかし体積を再確認するには王冠をいったん溶かし、体積を計算できる単純な立方体にしなくてはならなかった。困った王はアルキメデスを呼んで、王冠を壊さずに体積を測る方法を訊いた。アルキメデスもすぐには答えられず、いったん家に帰って考えることにした。
何日か悩んでいたアルキメデスはある日、風呂に入ることにした。浴槽に入ると水面が高くなり、水が縁からあふれ出した。これを見たアルキメデスは、王冠を水槽に沈めれば、同じ体積分だけ水面が上昇することに気がついた。王冠の体積と等しい、増えた水の体積を測れば、つまり王冠の体積を測ることができる。ここに気がついたアルキメデスは、服を着るのを忘れて表にとびだし「ヘウレーカ(ηὕρηκα!)、ヘウレーカ!(わかった! わかったぞ!)」と叫びながら、裸のままで通りをかけだした。確認作業の結果、王冠に銀が混ざっていることが確かめられ、不正がばれた金細工師は、死刑にされた。
wikipedia:アルキメデスの項より引用
つまりはアルキメデスがお風呂で浮力発見のきっかけとなる原理を閃いた瞬間、「ヘウレーカ!」と叫んだのです。
ただし、だからと言ってアルキメデスが主役なわけではなく、ダミッポスというスパルタ人の青年を中心に物語は展開していきます。
中心となる舞台は古代ローマ時代のさらに踏み込んで言えば共和政ローマ時代にあたり、ローマが急成長していた時代。
場所は、シチリア島の都市であるシラクサで、ローマとカルタゴにより起こった第二次ポエニ戦争を中心に描かれます。
スパルタ人のダミッポスは、シラクサで生まれ育ったローマ人の女性、クラウディアと出会うのですが、戦争となりローマ人は迫害を受けます。
シラクサで普通に生まれ育っただけなのに、ローマ人であるからという理由だけで蔑まれる点は戦争の非情な部分。
なんとかクラウディアを助けたいダミッポス青年は、ローマ派であると言われていた天才学者アルキメデスに保護してもらうこととなり、そこで様々な事を教わり、さらにはアルキメデスが発明した機械の数々を見ることになります。
圧倒的パワーでローマ軍を蹂躙していくアルキメデスの機械兵器。
あの手この手でシラクサを陥落させようと企てるローマの大軍。
非人道的な殺戮兵器を作ってしまったアルキメデスの覚悟。
様々な状況を見て、多くの選択を迫られるダミッポス。
――と、流石の岩明均先生。
1巻完結とは思えないボリューム感とテンポの良さで、あっという間に時間が過ぎてしまい、気付けば読み終えてしまうこと間違いなし。
戦争の描写は迫力満点ですし、アルキメデスの機械兵器も超怖い。
そして古代ローマならではな技術も沢山登場し、歴史探求ロマンとしても最高に面白いです。
因みに、ダミッポスは実在した人物のようですが、多くの資料は残されていません。わずかに残された資料を基に膨らませて描かれた人物だと思われます。一方、アルキメデスの最期などは残された資料通りに再現されているので、その辺りのバランスのとり方も流石というしかないです。
『ヘウレーカ』はどんな人におすすめ?
『ヘウレーカ』をおすすめするのであれば、
・歴史漫画大好きな人。
・特に古代ローマ大好きな人。
・岩明均先生の作品が好きな人。
・機械の仕組みや、物理学的な考察が好きな人。
などには特におすすめです。
ただ、僕なんかは全然古代ローマに深い思い入れはないにも関わらず、最高に面白く読めました。
むしろ古代ローマなどに興味を持つきっかけにもなるかもしれないので、幅広くおすすめできる一冊です。
『ヘウレーカ』を読んだ皆さんの反応
なるほど、お父さんが考古学者だからあんなにガチな考察を入れこんだ漫画をたくさん描けるんですね!
ダミッポスの鏡大作戦、非常に胸アツでした。
古代ローマが舞台の読み応えある歴史漫画なら『ヘウレーカ』がおすすめ
この『ヘウレーカ』を読んで興味持てたなら、同じく岩明均先生の『ヒストリエ』も読んでみて欲しいです。
『ヒストリエ』は1巻完結ではないのでこのブログで詳しく紹介はしませんが、超絶面白いです。
多分ですが、この『ヘウレーカ』で古代ローマとかを描くステップが踏めて『ヒストリエ』に繋がっていったんじゃないかと思います。
とにかく、骨太でしっかりと史実も反映された古代ローマのお話。
そして天才学者アルキメデスが出てくるお話にもなっているので、『ヘウレーカ』は多くの方々に読んでみて欲しいです。
歴史好きじゃなくても間違いなく面白いですし、きっと興味を持つきっかけにもなります。
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