人間は、おおよそ身体の70%前後は水で出来ているといいます。
ざっくり言えば人間はほぼ水です。
そして、僕らが住んでいる地球は、表面の70%は水です。
ざっくり言えば地球はほぼ水です。
そんな僕らは、おそらくみな水についての興味があるはず。
であれば、水についての漫画もきっと好きなはず!
というわけで今回ご紹介するのは、SF要素、ファンタジー要素満載で、かつすごく独創的な視点・描写が面白い短編集『世界の合言葉は水 安堂維子里作品集』です。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
世界の合言葉は水 安堂維子里作品集 | 安堂維子里 | 徳間書店 | 2010年 |
作者の安堂維子里先生は水にまつわる短編を多く描かれており、それ以外にもSFアクションな『バタフライ・ストレージ』やウィルスを描いた『GOAT HEAD』など画力も凄いし発想力がとにかくすごい先生です。
今回ご紹介する『世界の合言葉は水 安堂維子里作品集』はシリアス寄りな内容ではなくファンタジー色強いものが多く、僕的にはめっちゃツボ。
特に「ぎゅう」とか「塩害の季節」なんかはとにかく「面白み」に溢れた大好きなお話。
『世界の合言葉は水 安堂維子里作品集』を読んだら……
水にまつわる不思議で素敵な世界でぷかりぷかりと浮かばせてもらえます。
『世界の合言葉は水 安堂維子里作品集』はどんな漫画?
この作品には、全部で9つのそれぞれ独立した短編漫画が収録されています。
唯一共通しているのが、テーマが「水」であるということです(おぼん、はちょっと違うかも)。
そして、それぞれのお話が非常に独特な内容で、非常に面白いです。
各話、ざっくりとネタバレし過ぎないように紹介しますので、読む際の参考にしてもらえればと思います。
おぼん
フルカラーの短編「おぼん」。
5ページほどのすごく短い作品ですが、想像力を掻き立てられるザ・ショートショートな良作。
私たちはまだ途中
宇宙飛行士を目指す男女のお話。
「地球上の水の総量はずっと変わっていない」
という非常に興味深い内容が知的好奇心を刺激してくれました。
予想外のラストに戦慄。
Fusion
少子化が非常に問題になっている事を示唆する始まりから、てっきり現代を描いた内容かと思いきや、ちょっと違った世界観のお話になっています。
男女の恋愛の果てが「Fusion」であるとすれば、最後に残った男女はどうなるのか?
ラストカットで示される「ヒント」が、新たな創造を想像させる素敵な短編です。
なんて哀しい星
ひたすらに走り続ける男性が主人公のお話。
なぜ男性は走り続けるのか?
その壮大で神秘的すぎる理由に全宇宙が泣いた。
塩害の季節
冒頭で書きましたが、僕的にはかなりこの作品集の中でもおすすめしたい一作。
塩害は実際にある自然災害ではありますが、このお話の中で描かれる塩害はもっとすごくてとてもファンタジー。
こんな塩害、ワクワクしちゃう! という、不思議なお話。
海のお天気
こまけぇこたぁいいんだよ!
という感じの導入の仕方、好きです。
ネタバレしないように書けば、「友達の家に行って夕飯ごちそうになって帰るお話」です。
しかし状況がちょっと特殊で、すごく面白く読めます。
読めばわかる、読まねばわからぬ面白さです。
ぎゅう
これを読んで、「安堂先生ってすごい」と心から思いました。
発想力というか、着眼点というか、面白みの見つけ方みたいなのは天才的だな、と。
世界はたくさんの「ぎゅう」が詰まっていて、飛行機は「ぎゅう」の隙間を飛んで、人々は「ぎゅう」の空いている所に立って、「ぎゅう」にも様々な固さがあって――という、ぎゅうにまつわるお話。
ぎゅうが何かって?
それはもう、ぎゅうです。
メルトイズム
地球と自分とは同じもので、地球と自分とを分けているのは自分の名前を読んでくれる誰かの声。
それがなければ、身体は水に、花に、空気に溶けていってしまう。
そんなお話。
季・節・水
季節ごとに身体の中の水、しっかり入れ替えてますか?
なお話。
短いお話なのでこれ以上書けません。
『世界の合言葉は水 安堂維子里作品集』を読んだ皆さんの反応
『世界の合言葉は水 安堂維子里作品集』は水にまつわる想像力を刺激する9つの読み切り傑作短編集
この作品のあとがきで、安堂維子里先生が各エピソードについての短い解説を書いてくれているのですが、それがまた良かったです。
独特な視点ではあるのでしょうが、凄く素直で純粋な視点だよな、なんて思いました。
読後感もすごく爽やかな、それこそ水のような短編集になっているので、気軽に読んでみてほし一冊です。
試し読みだけでも、してみてください。
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