その日、駅での人身事故を間近で目撃してしまった主人公の女子高生。
強烈な記憶となって残ってしまったその光景なのに、どうしても思い出せない事が1つだけある……。
事故の瞬間の、黒い丸……忘れてはいけない大事なこと……。
――今回ご紹介するのは、弥栄亜咲先生による『力なき者たちの力』です。
この作品は第49回 少年シリウス新人賞において総合大賞を受賞した作品で、なるほど読めば納得の、衝撃と感動がしっかりと詰め込まれた素晴らしい読み切りになっています。
『力なき者たちの力』は一言でどんな漫画?
人身事故を目撃してしまった女子高生が、思い出せない大事な事に葛藤し前を向くまでを描いた衝撃と感動の読み切り作品。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
力なき者たちの力 | 弥栄亜咲 | 46ページ | コミックDAYS |
『力なき者たちの力』の超ざっくりあらすじ
高校2年生の志鶴は、その日いつも乗る電車のホームで人身事故を目撃してしまった。
直後にやってきた同級生の満夫が、自己を目撃してしまった衝撃で消沈する志鶴を気遣ってくれ、なんとか気持ちを落ち着ける志鶴だったが、その日から志鶴の中にはある1つの「なにか」が思い出せずに苦しむようになる。
志鶴は思い出せない大切な「なにか」をなんとか形にしようと、絵に描いたりしてみるものの一向にうまくいかない。
そんな中、志鶴の描いた絵が全国高校美術展に入選するという出来事があり、志鶴は全校集会の際に表彰されることに。
しかし奇しくもその全校集会での緊張感が、志鶴が思い出せずにいた大事な記憶を思い出されることとなり……。
『力なき者たちの力』のネタバレあり感想
人身事故を目撃してしまった女子高生・志鶴の、苦悩と前進の物語。
衝撃的な冒頭でスタートしどんな展開かと恐々と読み進めましたが、ラストにはしっかりと明るく前を向ける展開で終わって読後感も良かったです。
人身事故を間近で目撃してしまうのって、どんな気持ちなんでしょうか?
僕は電車通勤時代が結構長かったので、もちろん一本前の電車で人身事故……みたいなことは経験あるのですが、同じ電車だったり間近で、という経験はありません。
想像するに、相当なトラウマになってしまうことは間違いないと思うのです。
さらに、それがこの作品で描かれていたように「もしかしたら自分の行動次第では救えたかも知れない」というような状況であったら、尚更気に病んでしまうことでしょう。
しかしこの作品では、最後に満夫の事を過去に一度救っていたという事実が判明し、志鶴の心も救われます。
本当に良かった……。
ショッキングな冒頭でどうなってしまうかと思いましたが、ラストで救われてホッとしました。
途中の読者をも巻き込んでドキドキさせる描写と言い、すごく上手く志鶴の葛藤と焦りが描かれていました。
ラストで描かれる志鶴の絵には、おそらくは命を絶ってしまった人を描いたのであろう素敵な女性が描かれます。
女性の絵は、墓地の中で力強く上を向いて手を伸ばし、花をかざしています。
それはきっと志鶴の中でのケジメでもあり、また弔いでもあったのでしょう。
力が無いと思っていても、生きているということだけで力があるのだということ。
強いメッセージも込められた、素晴らしい作品でした。
『力なき者たちの力』を読んだ皆さんの反応
『力なき者たちの力』は閉ざされた事故の瞬間の記憶を紐解く衝撃と感動のおすすめ読み切り漫画
生きていることには力がある……。
そんな強いメッセージの込められた感動の物語でした。
特に今、コロナ禍もあって気持ちも落ち込みやすく、ニュースを見てても嫌な気分になるものが多いように感じてしまいます。
それでも、とにかく生きていることが力なのです。
生きろ! って、もののけなアレでも言われたし。
――もしこの作品をまだ読んでいないのであれば、きっとあなたの心にも響くと思いますのでぜひ読んでみてください。
そしてこの『力なき者たちの力』が面白かったのであれば、作者である弥栄亜咲先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
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