人を好きになったことが無い先輩は、同じ委員会の後輩がいわゆる「匂わせ」な事をしてくることで心を揺さぶられていた。
それは果たして友人に対する友愛なのか?
それとも異性に対する本能的な性愛なのか?
そんな先輩の揺れる心とは裏腹に、後輩はもっと大きな闇を抱えている事を先輩は知るよしもなく……。
――今回ご紹介するのは、女九一(くのいちかずひと)先生による『静かに攻撃的』です。
この作品はヤンマガ月間賞にてTOP賞を受賞した作品で、予想できない展開で心をひっかかれる独特な作品となっています。
『静かに攻撃的』は一言でどんな漫画?
ウブな先輩とネアカな後輩との恋物語――と見せかけて衝撃的な展開になっていくまさに静かに攻撃的な読み切り。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
読もうか迷っている方は、この記事を読み進めて判断していただければと思います。
※↓↓タップ(クリック)で読めます。
『静かに攻撃的』の超ざっくりあらすじ
人を好きになったことがなく、友愛も性愛も違いがわからない「せんぱい」。
しかし最近先輩には、同じ委員会の後輩である戸羅みかんという名前の少女がつきまとっていた。
どらみは先輩に対してインスタフォローを促してきたり、何気ないタイミングで手を握ってきたりと積極的な行動が多く、先輩は心をかき乱されていた。
「体操着をなくしてしまったから」と先輩に借りに来たり、ヘアピンをなくしてしまっていたり、お弁当を分けてくれないかとお願いしてきたり……。
そうこうしているうちに先輩はどんどんみかんの事が気になるようになっていったのだが、そんな先輩の気持ちとは裏腹に、みかんはある決意をしてしまっていて――。
『静かに攻撃的』のネタバレあり感想
谷川俊太郎の『世間知ラズ』の中の「午前二時のサイレント映画」の一文から始まる今作。
普通に読んでいると、のび太くんな雰囲気のステレオタイプなメガネ少年が、明るくて眩しい女の子に振り回される漫画だと思ってしまいます。
中盤までもそういった読み方を初見ならしてしまうハズなのですが、雰囲気が変わり、今まで読んできた内容の意味が全て変わってきてしまうのがラスト5ページ。
なぜ、どらみは男である先輩に体操着を借りようとしたのか?
なぜ、どらみは頻繁にものを失くしていたのか?
なぜ、お弁当を1人で食べ、お弁当を分けてほしい、などと言ってきていたのか?
漫画内で明確な説明はなされませんが、明らかにキツめのイジメにあっていることが察せられます。
さらに、最後の5ページで明かされたどらみの決意は、冒頭の谷川俊太郎の一文にもあったように
自分の一生をかけたひっかきかた
をしてやるんだという決意であるわけです。
おそらくどらみが自ら命を絶つことで、どらみを嫌った多くの人間達の心を大きくひっかっくことができるでしょう。
さらに、最後にどらみを好きでいてくれた先輩にもまた、良い思い出と共にさらに大きなひっかきかたが出来るのでしょう。
この作品が真に恐ろしいのは、最後のページで電車とどらみが衝突したであろう音を、先輩は「初めて耳にする恋の音」と表現しています。
どらみの一方的な考えに振り回せれての怒りではなく、好きになった人がいなくなってしまう悲しみでもない。
読んで爽快! という類の作品ではないです。
しかし、谷川俊太郎の詩にあったように、ひっかかれたような感覚が残ります。
まさにこの作品こそが「静かに攻撃的」。
ちなみにですが、この作品冒頭で書かれていた谷川俊太郎の詩の一文は続きがあり「それがドタバタ喜劇にすぎなかったとしても」と続きます。
その一文を引用しなかったところにもまた、センスを感じます。
『静かに攻撃的』を読んだ皆さんの反応
『静かに攻撃的』は匂わせ後輩の想いに心揺さぶられる衝撃的なおすすめ読み切り漫画
静かに攻撃的な作品で、必ず2度読んで欲しい作品でもあります。
そして、じっくり読んでみてほしいです。
結末は賛否あるんでしょうが、その結末もまた静かに攻撃的であると僕は感じました。
あなたはどうでしょうか?
もしまだ読んでいないのであれば、きっとあなたも何らかのひっかかれ方しちゃう作品だと思いますのでぜひ読んでみてください。
そしてこの『静かに攻撃的』が面白かったのであれば、作者である女九一先生を応援し最新情報をチェックしてみてください。
ブログ内で紹介してきた1巻完結・読み切り漫画の中から厳選した本気のおすすめ漫画特集、よければあわせて読んでみてください。
無料で読める読み切り漫画特集⇓⇓
1巻完結の漫画特集⇓⇓
全ての特集記事まとめ⇓⇓
コメント