あらゆる仕事が人工知能に取って代わられるかも知れない――と冗談でもなんでもなく言われている昨今。
もちろんそれは音楽業界でも同じで、それどころか現実問題としてCDなどの売り上げは激減し、あっという間に音楽業界を取り巻く様相は変わってしまいました。
今回ご紹介する漫画では、更に進んだ未来で起こるかも知れない、「作曲すら人工知能が大幅に介入するようになった世界」が描かれています。
今回ご紹介するのは、伊藤拓登先生による『インスタントミュージック』です。
※同名の曲が「the pillows」の曲にあるので、もしかしたら先生が好きなのかも?
『インスタントミュージック』は一言でどんな漫画?
本当に来るかも知れない音楽業界の未来と、それでも楽しむ事を忘れない音楽の本質を描いた音楽漫画。
この時点でもう読みたい!と思った方はぜひ読んでみて下さい。
面白そうかどうかの判断がつかない方は、この記事を読み進めていただければと思います。
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タイトル | 作者 | 本編ページ数 | 読めるサイト |
インスタントミュージック | 伊藤拓登 | 56ページ | コミックDAYS |
『インスタントミュージック』のざっくりネタバレあり感想
僕はバンドもやっていたし、一時期DTMもやって機材を揃えていたりもしたのでかなり面白く読めました。
ただ、音楽製作への予備知識が全くないと、ちょっとわかりにくい部分も多いかもな、とは思いました。
物語は、ドイツの会社が作った「インスタントミュージック」という作曲ソフトが登場したことにより作曲のあり方がガラっと変わってしまったとある世界が描かれています。
「インスタントミュージック」というソフトは、専用のマシンに音楽を学習させることで、自動で新しい音楽を作ってくれるというもの。
つまりもうそこに人が介入する余地はほとんどなく、あるとすればそのマシンに何を学習させるかであったり、そのソフトをいかに巧く使いこなすかだけ。
果たしてそれは「自分が作った曲と言えるのか?」という、主人公である神田の葛藤も同時に描かれます。
――読んでいて思ったのが、実はこれってもう起きてることだよな、ということ。
もう何年も前からデジタルな音楽は主流になっていて、さらに「いかにソフトを使いこなせるか」で曲の仕上がりは全く違ってきます。
この漫画で描かれているのは、今起きていることを更に飛躍させた近い未来ということなのでしょう。
漫画の中盤では、社という人物が生の楽器を使って楽しそうに音楽をやっている姿を神田は見ることになります。
そして漫画の終盤、おそらくはソフトで作った曲ではなく、自分で打ち込んだであろう曲を聴いてもらって「いまいちだなぁ」と言われている神田の表情や、それでもめげずにやろうとしている描写が凄く良かったです。
結局、自分で作ってあれこれ言われて、また作り直して――という工程が楽しいのです。
途中で社が神田に言った、「お金とかじゃなくて、好きだから、楽しいから音楽やってるんじゃないの?」というセリフが全てなのです。
総じて、音楽のおそらく本当になるかも知れないこれからと、それでも変わらない音楽の楽しさと向き合い方がキレイにまとまっている、傑作読み切り作品だと思います。
※余談ですが、登場人物がいちいち誰かに似ているので、そういう楽しみ方もできるかも。
『インスタントミュージック』を読んだ皆さんの反応
『インスタントミュージック』
主人公の神田は性格なのでしょうか感情の起伏が少なく見えます。
それでも、表情や雰囲気から、音楽に対するアツイ気持ちが伝わってきたのでそのあたりの描写はうまいなぁ、と思いました。
音楽好きな人には特におすすめしたい作品ですので、ぜひ読んでみてください。
そしてこの漫画が面白かった方は、ぜひ伊藤拓登先生を追いかけて応援してみてください。
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