ほのぼのとした表紙絵で、少し足りない雰囲気のちーちゃんがとてもかわいく、間違いなく読み終わったらちーちゃんが好きになってしまう阿部共実先生の漫画、『ちーちゃんはちょっと足りない』。
しかし、読む側の感情移入具合次第では意外にも心抉られる鬱漫画になる可能性すらある、恐ろしい漫画だな、と僕は読み終わった時に感じました。
実際、僕はちょっとしばらく暗い気持ちになりました。しかし、同時にすごく良い漫画を読んだ満足感みたいなものもあるのです。
それは一体どういいうことなのか? ネタバレしすぎないよう簡単に紹介してみたいと思いますので、この作品が気になっていた方は購入の参考にしてください。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
ちーちゃんはちょっと足りない | 阿部共実 | 秋田書店 | 2014年 |
『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んだら……
ほっこり学園物語かと思いきや、めちゃくちゃ感情揺さぶられるすごい展開に心がやられます。
『ちーちゃんはちょっと足りない』はどんな漫画?
この漫画は、女子中学生が中心となる物語です。
全てのお話は繋がっており、全8話で1巻完結しています。
タイトルに入っている「ちょっと足りない」に関してですが、単に少し頭の回転が遅い様子を指す「足りない」という意味でもあるでしょうし、作中高頻度でお金や友達や幸福度合いなどが「足りない」といった表現も出てくるので、色々な意味を込めての「足りない」だと思われます。
作品前半は、タイトルにも使われている「ちーちゃん」がどんな子であるか?という紹介にもなっているような、ほのぼのとした、同時にクスっと笑えるようなエピソードが続きます。
因みにですが、主人公はちーちゃんではありません。この事実が恐らくこの漫画を大傑作にしているポイントだと思います。
その段階ではきっと読者(僕も含め)は「ほのぼの日常系」だと思って微笑ましく読み進めると思うのですが……。
クラスにいる、ちょっと威圧感があり恐い雰囲気のギャルっぽい生徒「藤岡さん」がいつものメンバーと関わり出して来た辺りから、雰囲気が少しずつ変わっていきます。
大きく雰囲気が変わるわけではないのですが、なんとなく友情関係がイビツな感じになっていくのです。
そして、クライマックスに向かってとある人物の「葛藤」が物語の中心になり、それは読む人にとっては物凄く共感出来てしまうかも知れない恐ろしい葛藤でもあると僕は感じました。
友情、金銭的不安、罪悪感、嘘……。
中学生ならではの、ピュアだからこそ禍々しいような心の葛藤は結構僕は読んでいて重かったです。
結末も、賛否あると思います。
スッキリしない人はしないでしょうし、ハッピーエンドと見れなくもないです。
何を感じるかは人それぞれですが、僕が読んだ後の感想としては「とんでもなく歪んだ恐ろしい話」だと思いました。
ちょっとバカっぽいちーちゃんを取り巻くほのぼのとした中学校の生活の漫画だと思っていたら、心抉られる内面の葛藤を描く漫画になっていった……。
そんな、色々と考えさせられる不思議な漫画でした。
ぜひご自身で結末も含めて読んでみて欲しいですし、不思議な読後感も含めて非常に中毒性のある傑作漫画であることは間違いないでしょう。
『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んだ皆さんの反応
人によっては結構深くいかれる可能性もアリ。
ところどころで描写される「子供の頃の体験」みたいなのも作品の深みと不気味さを際立てている気がしました。
教育ってマジムズい。
『ちーちゃんはちょっと足りない』は読む人次第で読後感が変わる不思議で色々と考えさせられる傑作漫画
やはりTwitterでの感想などを見ると、この漫画の怖さに戦慄するツイートが多かったです。
もしかしたら最初読んだ後には、「ちーちゃん可愛かったなぁ」という感想の方もいるかも知れません。
しかしそれでは勿体ないです。
ちょっと足りないです。
この漫画の主人公が誰であるかがわかり、主人公の視点で全てを読み返した時、きっとあなたは戦慄するのです。
ちーちゃんの気の抜けちゃう可愛さだけが救いですね。
ぜひこの漫画の凄さと怖さ、ご自身の目で確かめてみて下さい。
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