2009年から連載された『サヤビト』や『現代魔女図鑑』の作者である伊咲ウタ先生による、初期の短編集であるその名もそのまま『伊咲ウタ短編集』。
繊細で美しいタッチの絵と、独特な設定でぐいぐい読ませる「ウルウ」や猫好きにはたまらない、意外な結末の「とーちゃんとぼく」など、魅力的な作品が4作品収録されています。
というわけで今回は、伊咲ウタ先生の『伊咲ウタ短編集』をご紹介。
タイトル | 作者 | 出版社 | 発売年 |
『伊咲ウタ短編集』 | 伊咲ウタ | 講談社 | 2021年 |
『伊咲ウタ短編集』を読んだら……
独特な発想の物語4編が楽しめます。
『伊咲ウタ短編集』はどんな漫画?
『伊咲ウタ短編集』は、それぞれが独立した読み切り短編が4作品収録されています。
全て毛色も異なっているので、ざっくりとそれぞれのお話を紹介してみますので、迷っている方は参考にしていただければと思います。
ウルウ
うるう年に産まれてしまうと、4年に1度しか歳をとらない「ウルウ」と呼ばれる人間になってしまうという設定のお話。
ウルウとして産まれた主人公の美央は実年齢は16歳でも見た目も知能も4歳のまま。
その為幼稚園でも小学校でも中学校でも、なかなか友達も出来ず、出来ても自分より先に進学していってしまいます。
そんなかなり特殊な境遇の美央ちゃんの、友情と恋のお話。
とーちゃんとぼく
すぐに家出をしてしまうとーちゃんを、ぼくがいつも探して世話をしてあげます。
かなり短い短編ですが、結末を知るとなるほどと思える、ちょっと良いお話。
もっと色々書きたいお話なのですが、短い作品ですしあとは何を書いてもネタバレになってしまうのでぜひ読んで確かめてみてほしいお話です。
脱皮
数万人に1人がかかってしまうという、脱皮症候群。
主人公の少年は、同じクラスの成宮さんという女の子が脱皮症候群である事を知り、気になっていました。
そんなある日、林間学校で登山をすることになった際に成宮さんとペアを組むことになり……。
というお話。
いきなりちょっとエロい感じになります。
脱皮ですので。
主人公の少年が一皮むけて脱皮するわけではないですが、主人公の少年もしっかり脱皮の時にとある役割を果たすことになり、そこだけはクスっと笑いました。
市川春子先生の作品集にもちょっと通ずるものがあるようにも感じました。
母を訪ねて40分
好きになった男の子が、まさかの「きみのお母さんが好きなんだ」とかなり衝撃的なフラれ方をするところから始まるお話。
これはどういう展開になるのか?
とハラハラしていると、かなり心温まる親子の話になって感動の涙。
お母さんが歌っていたオナラの歌がものすごく気になりました。
『伊咲ウタ短編集』を読んだ皆さんの反応
『伊咲ウタ短編集』は伊咲先生のセンスが詰まった初期の短編4作品が収録されたおすすめ1巻完結読み切り漫画
4年に1度しか歳をとらない「ウルウ」は特に衝撃的でした。
普通の人の見た目でいう20歳になるころには、周りの人は80歳になってしまっているわけで、リアル浦島太郎感ですしそりゃ漫画内の美央ちゃんのように「どうせ友達になっても先に行かれてしまう」と卑屈になる気持ちもわかります。
それでも生きていかねばならない美央ちゃんの決意とたくましさ、ぜひ読んでみて欲しいです。
他3作品も全然異なる読後感で面白いので、おすすめの1巻完結の読み切り短編集漫画になっています。
注意点として、この『伊咲ウタ短編集』は電子書籍のみしかありませんのでご注意ください。
メインで利用する電子書籍サービスに悩んでいるようであれば、背表紙表示があるebookjapanがコレクション欲も満たしてくれるのでおすすめです。
詳細は記事にしてありますので、興味がありましたら読んでみてください。
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